almost...

分析と爆発のあいだ

「基本方針」

 このブログについて

医学生による音楽発掘の記録庫。

Twitter以外に自己表現の場が欲しかったのと、新しい音楽を発掘する原動力が欲しかったのが、このブログを立ち上げたきっかけです。別名「アウトプットしないとインプットが進まない病」ともいいます。

音楽評論でもただの雑談でもブロガーの気取った文章でも芸能人が書くエッセイでもないものを創りたい。ごちゃまぜだけどめっちゃいい、を目指しています。コンセプトは「名曲が埋もれているなら、掘り返せばいいじゃない」

 

コメントの公開・承認について

例の記事を公開して以降、コメントをいただくことが増えました。ありがとうございます。

当ブログでは、コメントの公開を「承認制」にしています。いただいたコメントを一件ずつチェックして、公開するか判断しているということです。

コメントは、賛否を問わず、できるだけ公開するようにはしていますが、誹謗中傷や明らかな嫌がらせなど、ほかの読者さんを不快にさせてしまう可能性が大きいと判断したものは、公開することができません。これは私にとって有利な(すなわち「味方」をしてくださる方の)意見に関しても全く同様です。

 

 

長々と書いてしまいましたが......

いつもたくさんのコメントをいただき、本当にありがとうございます。心温まるコメントを読んで、毎日ニヤニヤしています。これからもご贔屓のほど、よろしくお願いします!

 

twitterのフォローもお願いします↓

2021年7月ベストソング10曲

f:id:hotondochan:20210802231444j:plain

遅ればせながら、7月のベストソングを。今月も豊作すぎて収穫ハードモードでした

 

1. 夏の午後はコバルト / Awesome City Club

www.youtube.com

Awesome City Clubを「勿忘の人」と思っている人がいたら耳たぶ引っ掴んで強制的にこの曲を耳に流し込みたい。atagiとPORINの黄金比率、ハモリの正確さと遊び心満載なギミック。モリシーは「The・オーサム」の音色で王道ギターソロを掻き鳴らし、曲を上下両方から支える。シティポップを、肉体感を損なわず、ここまでのクオリティに仕上げてくるバンドは彼ら以外にいないと思う。

 

2. SMILE ~晴れ渡る空のように~ / 桑田佳祐

www.youtube.com

世の中は今日この瞬間も悲しみの声がする
次の世代に何を渡そうか!?
今この時代を生きて

この曲が意味するのは、東京五輪に対するエールだけでない。この国、そしてこの国で生きて、この国を支えるすべての人たちに対するエール。桑田佳祐の優しさが存分に詰まった至高の応援歌。

 

3. 夏嵐 / ジェニーハイ

www.youtube.com

 

4. 花占い / Vaundy

www.youtube.com

Vaundyヤバすぎる。前作「benefits」の雰囲気が行方不明。振れ幅の鬼。アフロに丸眼鏡からこんなに感情移入できるラブソングが出てくるという何度考え直しても脳がバグる設定に目から汁が......

benefitsと花占いでもはや対極まで攻め尽くした感ある。とか言っててもまた一か月後とかにまたぜんぜん毛色の違う大名曲リリースするんだろ?知ってるよ......もう俺にできることは抱いて抱えて悶えるくらいしかない

 

5. マスカラ / SixTONES 

www.youtube.com

 

6. U / millenium parade

www.youtube.com

常田大希がその奇才ぶりを存分に発揮した2曲。もはや7月は「常田堪能月間」だったんじゃなかったのかレベル。

 

7. RGB / YOASOBI

 www.youtube.com

「三原色」のEnglish ver.

日本語版「ほら(ほどけていやしないよ)」と
英語版 「Hold up(this won't be loosening, for we know)」

日本語と英語がここで交叉する妙。「たとえ何度離れてしまっても ほらつながっている」。

 

8. ライフスコール / Novelbright

www.youtube.com

サビなんかオク下でも一般人が満足に歌えないようなフレーズを、竹中雄大が圧倒的歌唱力と体力と繊細さでねじ伏せていく快感。バンドとしてもそうだが特にフロントマン竹中雄大がフィジカル面で強さをどんどん手に入れている。そして自分の声を最大限活かす曲作り。曲聴きながら土下座した

 

9. Summertime(feat. Rin音) / FIVE NEW OLD

www.youtube.com

 

10. 掃除 / 瑛人

www.youtube.com

Hey hey hey Ho Ho Ho Hey hey hey Ho Ho 

言葉の置き方は言うまでもないとして、擬音語の使い方が瑛人らしさ全開なことに耳が行ってしまった。

 

1. 夏の午後はコバルト / Awesome City Club
2. SMILE ~晴れ渡る空のように~ / 桑田佳祐
3. 夏嵐 / ジェニーハイ
4. 花占い / Vaundy
5. マスカラ / SixTONES 
6. U / millenium parade
7. RGB / YOASOBI
8. ライフスコール / Novelbright
9. Summertime(feat. Rin音) / FIVE NEW OLD
10. 掃除 / 瑛人

 

Spotifyプレイリスト

 

YouTubeプレイリスト

藤井風は音楽家であってアイドルではない

消音ループ。

 

毎日100万回くらい聴いてた藤井風、あれ以来一回たりとも聴かなくなった。いや「聴けなくなった」といった方が正しいかもしれない。

 

 

僕は「ファン代表」ではないので綺麗事を並べる必要はどこにもない。この1週間で 考えたことを整理してすべて書き下した。善良なファンがいることも重々承知で、炎上覚悟にて、1番言いたいことを最初に書く。

 

 

「藤井風は音楽家であってアイドルではない」

 

 

「消音ループ再生で藤井風を一位に!」なんだよこれ。ランキングが反映するべきは「音楽の良さ」で「ファンの力」ではない。本当に藤井風の「音楽」が好きなんですか?聴く気ないですよね?

 

もっと危惧すべきは、こいつらが現在進行形で音楽業界を潰してるということ。不正な順位操作によって今後出てくるかもしれない素敵な音楽が、本来の順位をとれなくなる。必然的に埋もれてしまう。新しい音楽家が埋もれるということは音楽全体の未来がなくなるということ。もうこれは藤井風だけにとどまらない、音楽全体への冒涜。もう「消音ループ」発言した時点で音楽業界の敵認定されたからな。あんたらに「音楽好き」を名乗る資格はない。

 

 あんたらがやってるのは、「藤井風を利用した自己実現」だよ。彼を道具にしてるだけにしか見えない。「風くんを世界一にしようと頑張ってる私かっこいい」これは自己満足、マスターベーションの域を出ない。誰も頼んでないし、お節介を超えたただの迷惑行為、規約違反である。

 

んで「動機は愛だからいいよね」ってなんすか。その言葉、赦す側の言葉であって、罪を犯してる側の言い訳にはならないですけど。

 

誤解されたくないので書くが「こんな奴らと同じ曲聴くのが嫌すぎる」というのではなく、「今までと同じような気持ちで彼の曲を聴けなくなった」。「きらり」を聴いても(ロングヒットだけど、これはあいつらの消音ループの結果かもしれない)と考えてしまう。初めて彼の曲を聴いたときに感じた小気味よさとか爽快感が、全く感じられなくなった。

 

もう一つ、聴かなくなった理由がある。

 

風を使った性的な妄想を恥ずかしげもなくSNSに投下して、その投稿に「#藤井風」 とタグ付け。当然こういうツイートは、藤井風の曲に関するツイートを見たくて検索した音楽ファンの目にも入ってしまう。彼らはファンによる性的消費を見て「藤井風ってそういう界隈の人なんだ...」と敬遠するようになってしまうだろう。彼らは一回敬遠したものには2度と戻ってこない。こうしてまた1人の音楽ファンがいい音楽と出会うチャンスを失う。これを害と言わず何と言おうか。

 

こうやって書いていくと、藤井風は彼らにとって「アイドル」なんだなとつくづく感じる。決してこれ自体が悪いわけではない。問題なのはネットリテラシーだ。

 

藤井風を広めたいはずの人たちが、彼の首を絞めている。ファン自体が,彼の音楽を正当に評価する気がない。消音ループに性的消費。あなたたちが彼をアイドルとして扱うほど、彼が本当に届けたいはずの「音楽」は届かなくなる。「音楽家・藤井風」としての道がどんどん閉ざされていくのを感じる。どれだけ彼の顔に泥を塗ったら気が済むんだ。

 

 

今すぐ消音ループ再生を止めろ。自分の投稿が人を不快にさせないか想像しろ。

 

 

一人一人が藤井風の将来を、そして音楽の未来を担っている自覚を持ってくれ。

 

 

 

--------

 

追伸,いつも応援してくださる方々へ。

僕が出した記事に「私はこの曲にはこういう意味があると思って聞いてます」とか「こういう解釈もあるのは新発見でした」とかDM、リプでいただくコメント、死ぬほど嬉しいです。その嬉しさの何割かは「この人は音楽が本当に好きなんだな」と実感できることもあるかもしれません

 

もうひとつ追伸、CD派の人へ。

実は、サブスクでどれだけ聴かれようとCD1枚買うことの方が圧倒的に数字的な貢献が大きいです。なので自信と愛着をもってCDをこれは伝えておきたかった。

「○○の良さ全然理解できん」系ツイートの良さ全然理解できん

 

「○○の良さ全然理解できん」

 

小田マリオ。ファン同士感動感傷その他諸々感情共有しあってる世界一平和なパラダイスに土足でずかずか踏み込んできて「それ全然よくないですよねー」って何がしたいんだよ。クリボーに食われて死ね。

 

仲間内とか家族で世間話としてそういう話するならまあいい。ま、そんな人間はこちらから願い下げだが。どうぞ勝手にいろんなもの貶めてせいぜい楽しんでくださーい!!!!!!!!その間に俺はもっともっといいものを掘り当てて豊かな人生送ってやるからな!!!!!!!!!グッバイアデュー!!!!!!

 

若干話が逸れたが......内輪ならまだいい。俺の耳に入らなければ。なんでツイートするんだ?全世界に発信する必要あるんか?せめて鍵垢にしろ。

  

「(アーティスト名)(曲名)」とかでファン仲間の感想サーチしてるだけなのに「○○の△△って曲全然好きじゃない、良さがわからん」みたいなツイートが引っかかって事故るんだよ。テンションを高めたくてしたサーチのせいでゴリゴリに冷めきったこの気持ちをどうしてくれるんだ?せっかく作りあげた自分だけの世界が崩れ去るのを止められない。俺にはどうしようもnエンダアァァアァァアァァアァァアァァーーーーーーーーーーーィイアァァーイ......

 

「そんなに嫌なら自衛しろ」

「見なければいい」

「垢消ししろ」

 

は?????

 

あのな、1のネガコメは100のポジツイより強力なの知らねえのか?美人な先輩から100回褒められたことより嫌な上司から1回叱られたことの方が残るだろ?クソツイの主を即ブロしてもそのツイートを目にしたのは絶対に覆されることのない事実だし俺にとっては絶対的な存在のことをそんな風に思ってる奴がこの世界にいるという事実が圧倒的に受け入れがたい。こんな結果が認められるかァアアアアア!!!オゴッ.........あと垢消しは勘弁しろください。

 

......もしかして何かを貶すことがかっこいいと思っていらっしゃいます?もしそうなら今すぐその認識を改めろ。よく知りもしないものを公衆の面前で貶めるのは道端でウンコ産み落とすより恥ずかしいってばあちゃんから習わなかったんか???薄っぺらい知識とすっからかんの頭でクソダサいオナニー見せてくんなヴァーーーーーーーーカ!!!!!

f:id:hotondochan:20210723171612j:plain

 

俺もお前の好きなものを邪魔しない。お前もこっちのことほっといてくれ。こちとらお前が「理解できん」もので泣いて笑って今日を必死に生きてんだ。

 

 

 

......やっぱり美人な先輩に100回褒められるなら上司に一回怒られるのなんてどうってことねえわ

アナウンサーを泣かせたい【東京五輪】

 

スポーツ中継、アナウンサーのインタビューで毎回クソ冷める。

 

せっかく決着ついた後に両者が握手からの流れでハグをして互いの健闘を称え合う。フィールドから降りるとそこまで抑えていた感情が爆発して勝者も敗者も関係なく泣き崩れる。

 

ここまではいい。バチクソ冷めポイントはここからだ。

 

柔道 女子48キロ級決勝で惜しくも敗れた渡名喜選手に対するインタビュー、興奮冷めすぎてゲロ吐いた。

 

アナウンサー「最後、敗れはしましたが今大会日本人初のメダルです」

 

うるせえ。「今大会初」とか「日本人初」とか関係ねえんだよ。もはや「銀メダル」も関係ねえ。負けて得るのが銀メダル、最後の舞台まで来て金に手が届かなかった。しかもそれを奪っていったのはついさっきまで目の前にいた対戦相手。悔しいに決まってんだろ。

 

おめぇも泣けよ、ボロ泣きしろ、喋んなくてもいいからその場で泣き崩れろ。

 

「わだしも一番近くで見ておりましたが、ホントウニサイゴ......ウゥッ............スミマセン......最後.........本当にボクも...悔しいデス............ウゥッ......オエッ......(泣きすぎて嘔吐く)」

 

このくらいでいい。

 

感動を届けてくれマスコミ。頼んだぞ

【永久保存版】藤井風のカバー動画大全・第3回:#23~34 高校卒業~「歌う人」になるまで

f:id:hotondochan:20210628112455j:plain


藤井風が今までにアップした全99本のカバー動画すべてにコメントをつけつつ、風の成長の軌跡とともにふりかえっていく企画。

【永久保存版】藤井風のカバー動画大全
第1-2回:#1~22 12歳で初投稿~中学卒業まで
  第1回:#1~11 ①
  第2回:#12~22 ②
第3回:#23~34 高校卒業~「歌う人」になるまで← イマココ
第4-6回:#35~84動画投稿がペースアップ
  第4回:#35~52 ①
  第5回:#53~69 ②
  第6回:#70~84 ③
第7回:#85~99 上京、そしてメジャーデビュー/総括

今日は 第3回 #23~34 高校卒業~「歌う人」になるまでです。それではどうぞ。
前回記事はこちら(第2回)

--------

目次

 

#23 2017/1/27 星野源・恋 耳コピ ピアノ

恋 / 星野源

youtu.be

鍵盤の上で指が恋ダンス踊ってる...すげえ...

ストリングスのグリッサンドもギターの細かい動きも音程を上げていく二胡も全部鍵盤の上で再現されている。圧巻は間奏。16分音符を余裕の表情で難なく弾き切る。動きのあるベースも左手で軽々と再現。もはや藤井風ならぬ「藤井指」。この凄さは後ほど詳しく......

原曲ギターは東京事変の "浮雲" として有名な長岡亮介が弾いている。そのギターフレーズを、「浮雲み」を存分に残しながらピアノに翻訳。音の伝道師。天才通訳者。

間奏なのだが......ピアノで弾きやすいようにすこし弾き方を変えているのがミソ。原曲もいいけど、こっちも気持ちイイ......貼っておくので聞き比べ倒してください......ぜひ。

原曲 ↓

藤井風 ↓

長岡亮介本人がこのカバー聴いたら絶対ニッコニコだろうな。無理やりにでも聴かせたい。

 

#24 2017/1/29 椎名林檎 - 長く短い祭り 耳コピ

長く短い祭 / 椎名林檎

youtu.be

俺的ベストカバーベスト10を挙げるなら確実に入ってくるね。初っ端からもう最高。鍵盤を舐めまわすような弾きっぷり。亀田誠二のベースが縦横無尽すぎて「ネック掃除」などと形容されるのならば、藤井風のピアノは「鍵盤掃除」だな?

「かわいい」から「かっこいい」に明確にフォルムチェンジしておる......超高校級、えげつなすぎてちょっと引いてる。俺の高校生活はなんだったのか。定期的に絶望を与えてくるから許せない。たぶん何度生まれ変わりガチャしてもこうはなれない気がする。そもそも何度も生まれ変わるのは嫌だな。インドア系すぎて三回目くらいから母体の中が心地よすぎて出てきたくなくなってそう。

そしてリズムへのノり方が明らかに変化している。自分で作り出したグルーヴに自らノってめちゃくちゃ楽しんでる。超「自作自演」。この言葉をいい意味で使う日が来るとは思わなんだ。

 

#25 2017/1/31 Suchmos "STAY TUNE" 耳コピ ピアノ カバー

STAY TUNE / Suchmos

youtu.be

狂ってる。いい意味で。聴いてるこっちまで狂いそうになる。てか狂ってなかったら藤井風の動画で8000字超えのレビュー書いてない。なにせ甘美すぎる。あんな泥臭ソングをここまで甘く弾き上げられるピアニストは彼しかいない。もはや違う曲。どのくらい違うかといったら納豆と甘納豆くらい違う。「甘」がついただけであんなにおいしい食べ物になるとは思わんやん。てか動画始まる前から弾いてるやん。フライング乙。ごちそうさまです。

Honda VEZELのCM曲をカバーした4年後にVEZELのCM曲「きらり」を書きおろすという奇跡の巡り合わせ。カルマですこれは。いま彼以上に " GOOD GROOVE " を体現できるアーティストはいない。HONDA担当者様の方向に向かって毎日3回礼拝したい。

 

#26 2017/2/2 平井堅 - 楽園 Piano Version

楽園 / 平井堅

youtu.be

「和製・平井堅爆誕。まあ平井堅もよくインド人に間違えられるだけで純日本人なんですけど。

それと誰か気付いている人います?「楽園」のMV、実は「何なんw」のそれとそっくりなことに。平井堅は追いかける側、藤井風は追いかけられる側という違いこそあれど、本人は黒の服を着て、もう一人が白を纏う構図。

意識の中だけにある人格が、どんな形であれどその主を救おうとするストーリがちょうどパラレルで面白い。 ちょっと運命感じてYes, let me fly言うてますけどmore......

www.youtube.com

 

#27 2017/2/3 back number - 「ハッピーエンド」

ハッピーエンド / back number

youtu.be《大丈夫 大丈夫ゥゥゥゥゥゥウウウウウ》の「ゥゥゥゥゥゥウウウウウ」でゆっくり全音上がっていくとこ、どうやって表現するのかなと思っていたらトゥリルですか。やられました。清水依与吏の表現の引き出し全部開け放ってる。

 昔から原曲のラスサビ(3:49~ ↓ ) Ba. 小島和也のベースラインエロすぎて大好き。

youtu.be

ほかの同じフレーズの箇所は「レーレーレーレーレーレーレーレーレーレーレーレーレーレーレーレー」って冷静に弾いてるのにここだけ「レーレーレーレーレーレーレーレ~⇧⇧⇧レ-レ-レ レ-レ-レ レ-レ-レーレミレ~」。感情爆発してる。キラーフレーズ。殺される。てか小島和也にベースで殴られて死んでもいい。ここだけテープ焼き切れるくらい聴いてる。これ聴いたことない人はベースライン意識して100回聴いてほしい。

ということで藤井風のカバーではどうなっているか聴き比べたら特に一番のサビと弾き方変えてませんでした。右手を主旋律に取られるから、左手のベースラインは重く弾かないといけない制約の上でやってるので仕方がない。今度は歌付きベース大強化版再録超絶希望。

 

#28 2017/2/12 スキマスイッチ - 奏(かなで) ピアノ

奏 / スキマスイッチ

youtu.be

 藤井風のオリジナル曲はいい意味でリスナーを裏切って快感を与える、「素直じゃない」曲が多いから、ファンモンのような素直な曲を弾き語りしている映像は貴重かもしれない。彼が椎名林檎的な(と言って伝わるだろうか、ディミニッシュ・オーギュメント・9th・11th・13th・分数コードなどなど多用した)歪んだ音楽を作り出すこともできるからこそ、コード進行が単純な曲を弾いても出る深みがある。

 こんなことを第2回で書いたが、そのまんま同じことをこのカバーでも主張したい。右手は主旋律、左手はベースラインとコード。これだけで深みを出せるミュージシャンがほかに何人いるだろうか。歌詞がそのまま包含されているような演奏、ダイナミズムのつけ方、省く音・残す音の選び方、響かせ方、ここまでくるともう技術云々の話ではない。音楽への愛がそうさせているとしか思えないような演奏。正直、絶望以外の選択肢が与えられない。

 

#29 2017/2/12 丸の内サディスティック (弾き逃げ)

丸の内サディスティック / 椎名林檎

youtu.be

これまで一切カバーしていなかった椎名林檎、高校入学後から大量にカバーするまでに何があったのか知りたくもあり知るのが怖くもある。

10回目くらいで打鍵の音が気にならなくなった。むしろ超エコな必須打楽器。指のエネルギー再利用。痛みが気持ちよさに変わるあの瞬間に酷似したサディズム的快楽を味わってしまった。

この1年と2か月後にOn vocal版を公開。そしてさらにワンマンライブ “NAN-NAN SHOW 2020” では4曲目に超洗練された丸サをぶち込んできた。藤井風の変遷を椎名林檎の名曲によって体感できる贅沢でハイになってトリップした

#30 2017/2/17 宇多田ヒカル 初期の代表曲ピアノメドレー4曲

youtu.be

正直めちゃくちゃ興奮してる。令和のR&Bスターが平成のR&Bスターをカバーしている。それを無料でのぞき見できる時代になったのがうれしくてたまらない。サンキュージョブズ

Automatic / 宇多田ヒカル

やっぱりいつでもピアノに打楽器の魂を吹き込む神。イントロ、バスドラのリズムでベース音弾いてるのでよく聴いてみてほしい。と思いきやBメロは自分で左手のリズムを変えてる。まるで完璧に計算されているかのような快感を本能で作り出す才能が妬ましい。

あとは、緩急の付け方と表情。力を込める・抜くの塩梅が絶妙。力を入れるところでは顔が引き締まる。抜くところでは白い歯を見せニカっと笑う。曲の緩急も風の表情も俺を翻弄してくる。絶対俺のこと狙ってると錯覚せざるを得ない。こんなに思わせぶりな態度とっといて「いまは恋愛に興味ない」とか言わないでよね////

そして"It's automatic"の口パク、萌え。

Can You Keep A Secret? / 宇多田ヒカル

 原曲の振れ幅を50倍くらいにしたような演奏。雰囲気としては『会いたくて会いたくて』のカバー(←第1回 #4)に近い気がする。リズム隊が"軽め"なポップを「"風"化」してピアノ一台で出せる音全部出してる

近づきたいよ君の理想に~おとなしくなれない~Can you keep a secret?........\\\ダーン///Hit it off like this......この \\\ダーン/// に大事なもの全部含まれてる。一気にムード持っていく。グランドピアノでビンタされてる感覚。

traveling / 宇多田ヒカル

" Can You Keep A Secret? " から流れるように " traveling " に移っていく。ここの移行部最高だな?曲が変わったのに気付かないくらいナチュラルに移ろっていく。この動画は組曲「Hikaru Utada」だ。すべてが同じ流れ、一本の道の上にある。この動画全体が一つの曲として完成されている。

そしてまた"traveling"の口パク。さっきより頻度多めで嬉しい(?)

光 / 宇多田ヒカル

4曲目にもなると語彙力がなくなってくる。「すごい」「天才」「色気がある」「才能の塊」「セクシー」「ピアノが歌ってる」「音楽の神に愛された男」「技術だけでは到達できない領域」......ここら辺の表現全部使い果たした。「ヤバい」を使い始めた平成JKの気持ちがこんなにもわかるときが来るとは思わなかった。そろそろ"カゼい"(風い)とか"Kazestic"(カゼスティック)とか"風ってる"(かぜってる)とか"草超えて風"とか新語を作らないと藤井風の魅力を堪能する前に全日本人のボキャブラリーが焼き尽くされてしまう。

 

追記:荒々しい暗転好き。 このライブでの暗転の仕方が全く一緒なので、これを参考にしたんだと思う。

www.youtube.com

 

 

......最後、ビデオ止めるときのカチャカチャカチャって音すき......風ASMR......

 

#31 2017/3/1 3月9日 レミオメロン

3月9日 / レミオロメン

youtu.be

 えっドラマのワンシーンか何かですか......窓から差し込むオレンジ色の夕日と時々聴こえる犬の鳴き声とテキトーに結んだネクタイと雑に捲ったYシャツと全くこちらに合わせない目線と敢えて真ん中を外すポジショニングのせいで完全に脳内ドラマ化された。タイトルは「ヤクザにラブソングを」「チンピラペダル」「狂い弾きウィンドロード」のどれかでお願いしたい。

魂だけはずっと高校生のままで彷徨っていたのに、19歳の藤井風から手書きの「卒業おめでとう」で祝われて何かから強制的に卒業させられた

 

 

 

......ん......?レミオ...メロン?メ...ロ...ン......?

www.youtube.com

 キャッチ・マイ・ハーーーート.......

 

 

#32 2017/8/13 Jamiroqual - Virtual Insanity ( Piano cover )

Virtual Insanity / Jamiroqual

youtu.be

 我々がピアノで弾く想像すらできないような曲を、藤井風はいとも簡単に弾ききってしまう。曲を聴いた瞬間に彼の頭ではピアノでカバーしたときの完成像が浮かんでるような気がする。右手は主旋律をとって、余った指で和音を弾く。左手はリズムをとって、コードのルート音、余った指で構成音を弾く。この作業を高い精度でこなし、かつグルーヴィーに仕上げるところまで慣れた手つきでやってしまうのが悔しい。プラスして、序盤で帽子を落としても画になるオシャレさと、0:25と0:33で手を払う謎のしぐさも色っぽく見せてしまうセックスシンボル的素質とを持ち合わせているから、見ている男としては気が狂いそうになる。「投げてもよし、打ってもよし、走っても守ってもよし、話してもよし、顔もよし、ファンサもよし」な大谷翔平の弱点を野球ファンが必死に探すのと同じように、藤井風の欠点を探すしか残された道がない。

 

「藤井風 欠点 検索」............

 

「「「「足が臭い」」」」

 

いや、「歌が上手い」「顔が良い」「オシャレ」「エロい」「無尽蔵の優しさ」のコンボが「足が臭い」だけで打ち消せるわけないだろ。100歩譲って寝起きのロッチ中岡のベロくらい臭かったら若干健闘するくらいのレベル。

f:id:hotondochan:20210706224010j:plain

......許せ中岡。こんなしょうもない比較のために引っ張り出してすまんかった。

 

#33 2017/8/18 最後の雨 中西保志

最後の雨 / 中西保志

youtu.be

――私たち、別れた方がいいと思うの。

「あなたを愛しているし、あなたも私を愛してくれたけど、いつの日からかすれ違ってるって感じるようになったの。愛が憎しみにとって代わられる前に、お別れした方がいい。私もあなたを失いたくなかった。でも仕方がないの。そうじゃないと、あなたのこと、永遠に嫌いになってしまいそう。ねえ、わかって。わかってよ。」

まくし立てる私に、風は何も言わずピアノの蓋を開けた。

「ねえ、なんでいつもそうやって逃げようとするの。いつもそうだった。私がこんなに一生懸命話してるのにあなたは無言で音楽にすがって。弱い人間なのよ。」

それでも風は何も言わず、鍵盤を叩き始める。中西保志の「最後の雨」。二人でよく聴いていたラジオでいつも流れていた、大好きな曲。

《本気で忘れるくらいなら 泣けるほど愛したりしない》

彼の瞳からは涙がつたっていた。最後のサビに入ろうかという前、笑顔でこちらを向いた彼と目が合う。「じゃあな、元気でいろよ」そんな言葉が聴こえたような気がする。私はこらえられず走り出した。彼はまだピアノを弾いている。遠くからメロディーが聴こえる。もう戻らない、戻れない。

彼は白い歯を少し見せたあと、最後の雨に打たれ続けた――

 

一度でいいから、こんな男に愛されてみたい。できれば藤井風がいいが。

 

 

#34 2017/8/20 エイリアンズ (キリンジ) ピアノ

エイリアンズ / キリンジ

youtu.be

弾き方といい、音色といい、藤井風のカバー動画の中で原曲にいちばん忠実かもしれない。2:24~、おなじみの「ミ♭シ♭ソ♭ミ♭レ♭ドシ~」の弾き方好き。指を置きにいかず跳ねるように鍵盤を叩いてキリンジの「あの感じ」を演出する匠。指先にすべての神経が集まってるんじゃないかってくらい感覚が鋭い。繊細かつ大胆。脳天から指先までエロス。恋心と性愛を司る神。一度でいいから抱いてくれないか

 

第3回まとめ

今回は切ない曲が多かったイメージ。この記事を書きながら何回か泣きかけた。ワクチンの副反応と戦いながら執筆したしんどさもあったけども。一番涙腺に来たのは「最後の雨」の妄想シチュエーション。自分で作ったストーリーで感動して泣くという自家発電をしつつ、しまいには「そんな大恋愛したことねぇわ!」と架空のプロットに嫉妬し始めるというカオス。

そろそろ「歌う藤井風」が見たくなってきたころでしょう。いよいよです。次回は「第4回:#35~52 : 動画投稿がペースアップ①」です。お楽しみに。ようやく「歌手・藤井風」について語れると思うとワクワクが止まらん。

青春病よ、永遠なれ【藤井風「旅路」】

f:id:hotondochan:20210702220046p:plain

青春を描く、双子の曲、
「青春病」と「旅路」。

対になる2曲だ。狂おしいほど大好きな二曲だが今回ははやる気持ちを抑えて冷静に分析なるものをしたい。

先に結論を言ってしまおう。

「旅路」とは、かつての少年が、いつか患った「青春病」を顧みる歌なのである。

この記事では、双子の歌から「青春」を読み解いていく。ぜひ青春の病を患いながら読んでほしい。

 

「青春病」は、こんなフレーズから始まる。

青春の病に侵され
儚いものばかり求めて
いつの日か粉になって散るだけ
青春はどどめ色
青春にサヨナラを
("青春病" / 藤井風)

青春という病を患った自分に対する迷いや嫌悪、焦りを描いているのが「青春病」だ。

君の声が 君の声が
頭かすめては焦る
こんなままじゃ こんなままじゃ
僕はここで息絶える
("青春病" / 藤井風)

煮え切らない主人公は、青春の儚さに気づき、絶ち切ろうともがく。いつか粉になって散るだけと気づきながらも、儚いものばかりを求めてしまう。「若さ」に翻弄される。

 

 

月日がたち、主人公が旅立つ時がくる。それは大学進学かもしれないし、就職かもしれない。実家を出て上京するのかもしれない。

出発する前に、ほろ苦い青春の日々を思い出したのだろうか、「旅路」は、こんな歌詞から始まる。

あの日のことは忘れてね
幼すぎて知らなかった
恥ずかしくて消えたいけど
もう大丈夫 旅路は続く

あの日のことは忘れるね
みんなだって彷徨ってた
この宇宙が教室なら
隣同士 学びは続く
("旅路" / 藤井風)

「青春病」のMVに出てきた少年たちが、イタい出来事をお互いに思い返して、無理やり忘れあう、そんな会話が交わされる。「あの日のこと、忘れてな」「わかってるよ、お前も俺があの子を好きだったこと、早く忘れてくれよ」「いやそれは忘れねえよw」「なんでだよ恥ずかしいわw」「こっちまで恥ずかしいわ汗出てきたw」......

 

 

旅路に就く。一人になる。かつての少年は、走り続けた日々を想う。

止まることなく走り続けてきた
本当はそんな風に思いたいだけだった
ちょっと進んでまたちょっと下がっては
気付けばもう暗い空
("青春病" / 藤井風)

止まることなく走り続けてゆけ
何かが僕にいつでも急かすけど
どこへ向かって走り続けんだっけ
気付けばまた明ける空
("青春病" / 藤井風)

「青春」を走り続ける間、周りのことは何も見えなかった。

そうか 結局は皆つながってるから
さみしいよね 苦しいよね なんて
自分をなだめている暇なんてなかった
("青春病" / 藤井風)

行ったり来たり、進んだり後ずさりしたり。前に進んでいたかすらも怪しい。いくつもの夜を悶々として過ごし、ため息も漏らしながら、乗り越えた。そんな儚い青春は、終わったはずだった。

青春のきらめきの中に
永遠の光を見ないで
いつの日か粉になって知るだけ
青春の儚さを
("青春病" / 藤井風)

青春のさなか、あると信じていた、というか、信じたかった「永遠」はなかった。青春は終わったのかもしれない、そう思っていた。

でも、終わっていなかった。旅に出た今も、青春の真っただ中だ。ある意味、みんなが少年のままなのだ。「旅路」では、その様子が、生き生きと描かれている。

お元気ですか
この町は相変わらず青春です
誰もがみな走ってます
まだ見えない旅路の先へ
("旅路" / 藤井風)

お元気ですか
僕たちはいつになれど少年です
心の奥底ではいつも
永遠を求めています
("旅路" / 藤井風)

 

 

永遠なものはない、この事実が人間の精神を一番かき乱し狂わせる。別れとか終わりとか死とかその他もろもろ俺たちを「永遠」から引きはがそうとしてくる奴らが許せない。そんな心の狭い俺にも藤井風は優しい視線を向けてくれる。

果てしないと思っていたものが
ここにはないけど
目にした 手に触れてきた
すべてに意味はあるから
("旅路" / 藤井風)

そう、ここが藤井風が紡ぐ歌詞の一番いいところだ。救われる思いと自分の器の小ささに死にたくなる気持ちが一気に来る。「永遠に続く」と酔いしれた苦い過去を否定せず、すべてに意味があると受け止めてくれる。我々のすべてを肯定してくれる歌詞。 Fujii Kaze の真骨頂。優しい。優しさに震えた......

果てしないと思えても
いつか終わりがくると
知らなかった昨日までより
優しくなれる気がした
("旅路" / 藤井風)

「終わり」がくることを理解したくなくても、いずれは、目を背けられなくなる時が来る。かつての少年は、大人になるしかなかった。でも、「永遠」は叶わなかったが、その代わりに、優しくなれた。

「終わりを意識することで、毎日をより善く生きることができる」常々感じていることが、藤井風に歌われてしまうと、心の中まで入り込んでくる。素直に従うしかない。完全降伏にて完全幸福。

 

 

あーあ いつの間にか
この日さえも懐かしんで
すべてを笑うだろう
すべてを愛すだろう
("旅路" / 藤井風)

あーあ 僕らはまだ
先の長い旅の中で
誰かを愛したり、忘れたり
いろいろあるけど

あーあ これからまだ
色んな愛を受け取って
あなたに返すだろう
永遠なる光の中
すべてを愛すだろう
("旅路" / 藤井風)

少年が少年でなくなっても、青春はどこまでも続く。抜け出したいと焦った「青春」とある意味折り合いをつけて、すべてを愛せるようになったとき、少年は本当の意味で「大人」になる。

 

 

「青春病」は青春の儚さを歌った歌なら、
「旅路」は青春の永遠をつづった歌で、

「青春病」が青春から抜け出そうとする歌なら、
「旅路」は青春をすべてひっくるめて受け止める歌。

私は、このどちらの歌も受け止めたいし、大事にしたいと思う。

藤井風、超愛してる。

(この記事は2021/03/01に投稿したnoteを再度修正・追記し収録したものです)