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分析と爆発のあいだ

2021年ベストブック

2021年に読んだ、特別な本たちを集めました。

 

はじめに

にしても古い本が多いな。「今更読んだのかよ!」という声が聞こえてきそうだ。
何を隠そう、中学時代からつい2年ほど前まで読書を蔑ろにしてきた。「受験勉強による"活字疲れ"」を隠れ蓑にして全然本を読まなくなった。今思えば本当にバカバカしい。読書ほど自分の糧になるエンターテイメントなどないじゃないか。当時の自分を本のカドで殴りたい。文庫ではなくハードカバーの単行本で。今ちょっとハリポタの5巻を頭に当ててみたのですが結構痛かったのでやめます。死んじゃうので。

 

そして今更、「本に溺れる」という”青春”を(周回遅れで)味わっているわけである。

 

目次

 

万城目学『バベル九朔』

主人公は「親戚の持ち物である雑居ビルの管理人をしながら小説を書いている」という俺からすると羨ましすぎる設定で最初ずっと嫉妬してたんですけど、最終的にいつもの如く混沌の中にぶち込まれました。万城目学強すぎ......

平野啓一郎『マチネの終わりに』

「生と死」「過去、現在、未来」「40代の苦悩、停滞」「人生の危機」「罪」「戦争と正義」「愛と憎」「親と子」「女と男」......実にいろんなテーマが一冊の小説に凝縮されている。もはや哲学書。難解なはずなのにページをめくる手が止まらなかった。

デブにとってカレーが飲み物であるように、読書バカにとってこの"哲学書"は読み物なのだ。

「この哲学書、読めます」。

小山薫堂『フィルム』

「"くまモン"の生みの親」の短篇集。

人生において「小物」が重要な役割を果たすことがある。形見を見て、亡き家族にもう一度会いたくなったり。昔使っていた時計を見つけて思い出が蘇ったり、それが心をひどく搔き乱す引き金になったり。自分の持ち物から話が広がって友情がスタートしたり、あるいは喧嘩、逆に仲直りのきっかけにもなったり。「小物」というのは文字通り「ちょっとしたもの」だけれど、人生に彩りを添えてくれる。

そんな「小物」から始まる9篇のエッセイ。

小山薫堂『考えないヒント』

・S.アイエンガー『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』

・モモコグミカンパニー『目を合わせるということ』

BiSHのリリックメーカー、モモコグミカンパニーのエッセイ。

「目を合わせる」という言葉を彼女は特別な意味をもって使う。

「目を合わせる」=「正面から向き合う」こと。

だから過去の彼女にとって、誰かと「目を合わせる」のは苦しかった。誰かと「目を合わせる」ためには自分の弱みをさらけ出さなければいけないから。そして彼女は、「自分自身」とも目を合わせようとする。自分自身と「目を合わせる」ことは痛みを伴う。自らと向き合えば、自分の弱さが嫌でも目に入ってくる......

ぜひ自分自身に重ねて読んでみてください。この本を読み終わったら、モモコグミカンパニーと、BiSHと、そして自分自身と「目を合わせる」ことができるようになっているはずです。

栗山英樹『稚心を去る』

若松英輔『悲しみの秘義』

若林正恭『ナナメの夕暮れ』

前作は「笑える」。今作は「刺さる」。名言が多すぎる。でも読んでて胃もたれしないのはその名言が「ナマ」だから。彼が実際に通って苦しんできた10数年間が生んだ「生の名言」。
自分の中の正解と、誰かの正論は、根本的に質が違う。(25ページ)
何かに酔って、現実の輪郭をぼやけさせながら生きる(45ページ)
ネガティブは、あり余る体力だ。(195ページ)

安田顕『北海道室蘭市本町一丁目四十六番地』

「息子と母親」はよく話す。「息子と父親」は疎遠になる。これが世の中一般の家族。でも、父から息子へ、息子から父へ、この言葉のやりとりは多分、ものすごく大切なつながりだと思う。男性はこの本を読むと、父親の言葉を聞いて、そして書き留めたくなるはずです。きっと。

大泉洋『大泉エッセイ 文庫版』

大泉洋のエッセイで泣く」っていうのは「お粥食べて腹壊す」くらいありえないと思っていたのに後半読み進めながら普通にずっと泣いてた。

almost.hatenablog.jp

星野源『そして生活はつづく』

本谷有希子『生きてるだけで、愛。』

・佐藤オオキ『問題解決ラボ』

村上春樹ラオスにいったい何があるというんですか?』

・齋藤幸平『人新世の「資本論」』

福岡伸一生物と無生物のあいだ

分子生物学とか脳科学とか研究してる人って結構な割合で哲学者でもあったりするわけだけど、それって「生きているとは何か」っていう根源的な問いに立ち返る機会が多いからだと思う。科学と哲学って根っこは一緒なんだなぁとつくづく。

 

綿矢りさ蹴りたい背中

伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード

恩田陸蜜蜂と遠雷』『祝祭と予感』

藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』

ここ一年でアホほど本読んでるのは間違いなくこの本の影響。これ読んで一気に読書へのモチベが上がった気がする。「読書しないとやべぇ」っていう焦りを植え付けられる。単純に読み物としても面白いのでオススメしたい。一石二鳥です。

 

奥田英朗イン・ザ・プール

特に思い入れが深い本。

メ○カリでこんな感じで ↓ 本をまとめ売りしている人いるじゃないですか、その一人がお目当ての本を2冊出品してたので買おうと思ったんですよ。

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jp.mercari,com

でその人のプロフィール見たら「3冊以上ご購入でお値引きします」。誘惑に負けてもう1冊買うことにした。しかしお目当てはさっきの2冊だけ。悩んだ末、「割り引き要らないんで、もう一冊、あなたが1番衝撃を受けた本を売ってくれませんか」とメッセージで交渉した。我ながらぶっ飛んでると思う。だけど出品者の方も面白いと思ってくれたみたいで「じゃあ『イン・ザ・プール』って本入れておきますね。めっちゃ面白いですよ!」ってノリノリでこの本を譲ってくれた。しかも「医者」の本。運命かと思いました。この場を借りてお礼を言います。ありがとうございました。めっちゃ面白かったです。またいつか、僕に本を紹介してください。

 

まとめ

万城目学『バベル九朔』
平野啓一郎『マチネの終わりに』
小山薫堂『フィルム』
小山薫堂『考えないヒント』
・S.アイエンガー『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』
・モモコグミカンパニー『目を合わせるということ』
栗山英樹『稚心を去る』
若松英輔『悲しみの秘義』
若林正恭『ナナメの夕暮れ』
安田顕『北海道室蘭市本町一丁目四十六番地』
大泉洋『大泉エッセイ 文庫版』
星野源『そして生活はつづく』
本谷有希子『生きてるだけで、愛。』
・佐藤オオキ『問題解決ラボ』
村上春樹ラオスにいったい何があるというんですか?』
・齋藤幸平『人新世の「資本論」』
福岡伸一生物と無生物のあいだ
綿矢りさ蹴りたい背中
伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード
恩田陸蜜蜂と遠雷』『祝祭と予感』
藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』
奥田英朗イン・ザ・プール