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分析と爆発のあいだ

「何なんw」、まじで何なんw【千夜千曲・第8夜】

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新しい音楽を発掘したい、そんな方の助けとなるべく始まった「千夜千曲」計画。一日一曲、音楽発掘のきっかけとなるような曲をspotifyプレイリストに追加しています。たまに選曲理由などを記事にします。第8夜は藤井風の曲を。

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【第8夜】何なんw / 藤井風

youtu.be

初めて動画を目にした時、タイトルで怪訝な顔になり、イントロ

《Na, Na, Na-na-na-na-na Na-na nah \ンーチッ/》

でドン引きし、敬遠してしまった。すいませんでした。そして恐る恐る聴き始めてから、さらにたくさんの衝撃に曝されることになった。3つにまとめてみた。

① スピリチュアルな話題を選ぶ勇気

主題は「ハイヤーセルフ」。誰しもが自分の中に持っている神様みたいなもので、自分が道から外れたり間違ったことをしようとしたときに説教したり歎願したりしてくるような存在だ。
この話題を23歳という若さで扱おうと思った勇気に「人生何周目?」という最大級の賛辞を送りたい。

② 熟達した言葉選び

そしてそのハイヤーセルフの警告を「何なんw」という自分の中の問いかけで表現するその感覚。曲名にもなるくらい短くて単純な言葉なのに、この曲の意味するところが全部つまっている。

③ 全編岡山弁の歌詞

言い回しに度肝を抜かれた。
と同時に「藤井風が岡山出身でよかった」と感じるのである。
R&Bはもともとブラック・ミュージックから生まれたものだから、素直な日本語の歌詞は馴染みにくい。無理やり歌詞を当てても言葉だけが浮いてきてしまう。これまで日本でほとんどR&Bが生まれてこなかったのはそういう理由だ(宇多田ヒカルはすごすぎるので例外)。
だからこそ(②と似通うが)、藤井風が、音韻やイントネーションがR&Bと馴染みやすい岡山弁のネイティブスピーカであることに奇跡というか何かのめぐりあわせを感じる。彼が岡山出身じゃなければこの曲は生まれなかったんじゃないか、と思ってしまう。

幼いころから膨大な音楽を取り込んで自分のものにしてきた藤井風が、その完成形を世の中に放ち始めた瞬間に立ち会えるのは嬉しい。藤井風のデビューシングル、ぜひ堪能してください。まだ聴いていない方は敬遠せずにぜひ。

 

<第7夜 - 第9夜>

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