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分析と爆発のあいだ

【2023年版】関ジャム「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」ガチ予想&答え合わせ



目次

 

みなさん、お久しぶりです。

まったく浮上できておらず、ご心配おかけしております。なんとか生きてます。

こんなにも更新が滞っているのは近々に「第118回医師国家試験」というやべー試験があるからでして。2/3と4ですよ。もう一か月ないみたいです。死。これを通らないと24歳無職が爆誕してしまうので、とりあえず医学に全ベットです。

ということで毎年恒例の「傾向分析・解説」の記事は今年はありません。楽しみにされていた方、ほんとすみません。(文字起こしは、国試が終わったタイミングでぼちぼちやりますので、気長にお待ちを。)

しかし、我々音楽オタクにとっては1年に1度しかない、せっかくの「祭り」なわけなので、せめてもの抵抗。さらっと予想をおいておきますので、覗いてみてください。そしてよければ、一緒に予想してみてください。

 

ではまた。

 

いしわたり淳治

ガチ予想

アイドル / YOASOBI
ふたり / 35.7
PIP / インナージャーニー
タイムセール逃してくれ / サバシスター
私は最強 / Mrs. GREEN APPLE
ちゅ、多様性。/ ano
オトナブルー / 新しい学校のリーダーズ
先輩 / 乃紫
TATTOO / Official髭男dism
ピンクブルー / 緑黄色社会

 

答え合わせ

1位 Super Ball / TOMOO
2位 命日 / ちゃんみな
3位 真実 / クリープハイプ
4位 アイドル / YOASOBI
5位 君がいてよかった!了解です。 / 虹のコンキスタドール
6位 Workin' Hard / 藤井風
7位 指先ひとつで / KIRINJI
8位 スマイルあげない / ano
9位 ぼくらのまま / ラッキーセベン
10位 接吻の手引き / 乃紫

 

 

蔦谷好位置

ガチ予想

地球儀 - Spinning Globe / 米津玄師
木にしない / SUSHIBOYS
Super Ball / TOMOO
replica / Vaundy
生命体 / 星野源
ケモノミチ / Mr.Children
眠れない / カネコアヤノ
How Many Boogie / Fuma no KTR × SKRYU × WAZGOGG
Relay~杜の詩 / サザンオールスターズ
キリエ・憐れみの讃歌 / Kyrie(アイナ・ジ・エンド)

 

答え合わせ

1位 crazy / 君島大空
2位 Grapefruit Moon / TOMOO
3位 唱 / Ado
4位 river relief ft. 崎山蒼志 / PAS TASTA
5位 人マニア/重音テト - 原口沙輔
6位 THE UNION / Awich
7位 Play / Enfants
8位 X-GENE / XG
9位 Makuhari / Bonbero, LANA, MFS, Watson
10位 namique. / lilbash ramko 

 

 

川谷絵音

ガチ予想

LADY / 米津玄師
メフィスト / 女王蜂
黒子 / Vaundy
IKAROS / King Gnu
yonaki / BREIMEN
rose / KID FRESINO
Branches / Bialystocks
パノラマ東京 / Pii
期待と予感 / スカート
スカフィンのうた / 中村佳穂

 

答え合わせ

1位 花 / 藤井風
2位 翔け夜の匂い草 / betcover!!
3位 sweet vertigo / Laura day romance
4位 tradition / CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN
5位 おどる ひかり / Cody・Lee(李)
6位 愛が一層メロウ / 離婚伝説
7位 Undercurrent / Khaki
8位 Blizzard / Mrs. GREEN APPLE
9位 mother ship / bed
10位 Seven (feat. Latto) / JUNG KOOK

 

Vaundy one man live tour "replica" ライブレポ

"Trail of Replicas creates the Original."

Vaundy one man live tour "replica"、参戦してきました。
前置きなしに、いきなり本編行きます。

今夜のステージは『まぶた』で幕をあける。一曲目に一番予想していなかったけれど、こんなにぴったりハマるのか。いやはやこれは適任。それこそのWBCで話題をかっさらっていったラーズ・ヌートバーが実は最高のリードオフマンだったみたいな。つまり『まぶた』は最高の"リードオフソング"。打率10割だった。『まぶた』にある"1曲目"としての素質を見抜いて、さらにその采配をど真ん中で的中させてしまう。Vaundy、もしかして邦楽界の栗山英樹なのでは?2曲目『灯火』へ。「元祖・リードオフマン」だ。1st AL『strobo』を幕開けさせる曲であると同時に、どんな状況でもライブの火付け役になる。なぜこんなにも「幕開け感」が強いのか、その秘密は「溜めて溜めて大爆発」にある。Aメロ→Bメロ→A→Bを繰り返してオーディエンスの○○が極限まで高まったところでサビ、ドーン。Vaundyの「溜めて溜めて大爆発ソング」と言えば『不可幸力』と思われがちだが『灯火』も負けていない。溜めた分だけ快感は大きい。サビを歌い切るとBメロに戻り、遠くに消えていく。代わってやってきたのはシンプルなエイトビート。「さあみんな元気か、踊れるかい?」と観客を煽り、最強ダンスナンバー『踊り子』へ。静かなようでうるさくて、極限まで装飾を省いているのにすごく美しくて、単調なようでいて全く飽きさせない、これはVaundyの魔法。手短にMCを済ませると、4曲目『置き手紙』。一番聴きたかった、そして一番化けてたかもしれない。リリースされたときは「ポップナンバー」だったとしても、この”箱”の中ではみんなれっきとした「ロック」なのだ。かっこよさが振り切ってた。「今伝えたいことが 僕たちが僕たちを思い合えるような 魔法の言葉」。本当に魔法の言葉。

5曲目『benefits』。一瞬でKing tut'sに変貌したこの箱は、グリーンのベールをまとい1990年のロンドンを演出する。別れの歌がホールを包み込む。《Stay, until I leave and forget, till this ends》という歌詞はVaundyなりの《Stand by me - nobody knows the way it's gonna be》(『Stand By Me』 / Oasis)の再解釈ととってもいいだろう。しかし大きく違うのは、『benefits』は確かに"2020年代の曲"だということだ。粒ぞろいの90's UK rockがVaundyの手によって色鮮やかな"2020's JP rock"にアップデートされていた。6曲目『HERO』、7曲目『裸の勇者』。2曲続けて会場の温度と聴衆の体温を上げにかかる。そこには確かにロックスターがいて、Vaundyは僕らの"ヒーロー"なんだと痛感する。8曲目『忘れ物』。これも結構ロックなんだな...と今更ながらの気づき。”ポップ”の顔をしているが気安く触るとケガをする。そんな隠れた切れ味の鋭さが、どの曲にもあるのが中毒性の所以かもしれない。

『明日動けなくなるくらいまで踊ろうぜ?』そう言って始まったのは9曲目『瞳惚れ』。会場内の全員、「総・仲野太賀」。勝手に体が揺れてしまう、これはまさに「瞳惚れ」。この気持ち良さの正体は"山下達郎イズム"だ。『SPARKLE』(1982年)のイントロ、カッティングを聴いただけでテンションが上がる、それと完全にパラレルなこの感覚。平成の"職人"の魂が、令和の"職人"・Vaundyに確かに受け継がれている。10曲目、『融解sink』は融けるような歌いまわし。現実から夢へと潜っていく。潜っているのか、それとも融けて一体化しているのか。続けて『恋風邪にのせて』。「Vaundyが『酔』『融』『瞬』っていう漢字一文字を極限までかみ砕いて歌にしたのがそれぞれ『恋風邪にのせて』『napori』『東京フラッシュ』だと思ってる」みたいなことを書いたことがあって、ここで改めて自分の言葉に納得させられる。酒に「酔っ払う」というよりは、視界がぐにゃんと曲がるような「酔い」に近い。

観客にかたりかけ、MCを終えた後12曲目『mabataki』へ。改めて感じたのは、この曲は2022年バージョンの "pain" なんだということ。Vaundyなりの「痛み」の表現。耳を傾けながら僕はmabatakiのMVを思い浮かべていた。菅田将暉演じる男が憎しみを捨て、愛を手にとるまでの4分間。この曲には目を背けられないストーリーがある。僕はじっとステージを見つめ、胸に手を当てた。余談だが、『mabataki』は4分4秒。再生時間は「4:04」と表示される。これはもしかして、「404」=「NOT FOUND」を暗示しているのかもしれない。「404 NOT FOUND」とは「クライアントの要求に対応するページが、既に存在しないこと」(引用:Ricoh公式HPを意味するが、この曲が「僕らの思い描いていた平和な未来が、既に存在しないこと」を暗示している?考えすぎかもしれないが、もしかしたら、そんな切なさが込められているのかもしれないな、などと思案したことを記録しておく。

続けて『しわあわせ』。スケールの大きな曲が2曲続けて演奏される。押しつぶされないように、僕らは必死に抵抗する。蔦谷好位置が「最強」と言ってた理由が今更身に染みてわかった。これはど真ん中のラブソング。「愛してる」を使わずに「変わらない 変われないよ 僕ら」「ちぎれない ちぎらないよ 僕ら」の言葉だけで愛のど真ん中を撃ちぬいてくる。「いまもしっかり生きている」とか、生きている、地面を踏みしめる系の曲が多いなとふと思う。Vaundy自身が生きていくことの難しさとか尊さに似たものを心の奥底で感じているからこその歌詞なのだろうか。そしてステージ上でも、彼は地面を踏みしめるように仁王立ちし歌う。

「ありがとう。さあ、ギアを変えていこうか。いけるよな?ついてこれるよな俺に?」そうして始まったのは彼の人気に火をつけた『不可幸力』。会場にも火がついたのは言うまでもない。元祖・「溜めて溜めて大爆発」はやっぱり健在だった。申し訳ないがこれはもう幸せにならざるを得ない。文字通りの"不可幸力"に僕らは押し上げられた。「おいおい、ギア上げるっていったろ?全然そんなんじゃ足りねぇぜ??」。幸せに酔いしれていた僕らを叩き起こすがごとく鳴り響くエンジン音。15曲目『CHAINSAW BLOOD』、オーディエンスの年齢層はものすごく若い。初めてのライブ参戦の人も多いのだろうか、序盤は遠慮気味だったフロアも今やセカンドギア。そして彼の一言で一気にトップギアに。一回解き放たれた若い力は、もう止まらない。皆が「もう体ぶっ壊れてもいい」くらいの勢いで頭を振り、手を伸ばし、飛び跳ねる。会場は勢いそのままに『泣き地蔵』へなだれ込む。「シクシクシクシクシク」の泣き声が爆発への合言葉となる。間髪入れずに17曲目『soramimi』。もうVaundyは止まらない。「いけるかァァァ!?!?!?」オーディエンスはそれに応えるだけ。それだけでいい。それがいい。《Distance, This Dance?》たった3語で絶頂できるくらい、僕らはもう"出来上がっている"。

「今日は、本当に、ありがとうございました。また、どっかで会おうぜ、なあ?」そういって最後始まったのは、紅白で日本中すら飲み込んだあの"怪獣"。『怪獣の花唄』だ。この曲からしか摂取できないエネルギーがある。ビタミンとかミネラルではない、「エネルギー」であり、カロリー=熱量だ。シンガロングを求めるVaundy。応じるオーディエンス。《落ちてく過去は鮮明で 見せたい未来は繊細で すぎてく日々には鈍感な君へ》《眠れない夜に》《眠らない夜を》《眠くないまだね》。僕らは飛び跳ねながら歌う。これがやりたかった。跳んで跳ねて歌って笑って泣いて。お互いに命を削りながら、命を燃やしながら。声を出せることがこんなにもうれしいなんて、昔は思いもしなかった。でも閉じこもった3年を経て、ついにまた、生命と生命のぶつかり合いができる。汗と涙でぐちゃぐちゃだった。でもそれでいい。それが生きている証拠なのだから。"怪獣"の背に乗って、僕らは遠くへと、また旅を始める。


まとめ

とにかく踊り狂った。頭振りすぎて首とれたし、飛びすぎてふくらはぎ爆発した。手上げてオベーションして、Vaundyを全身に浴びる。これ以上の幸せがあるだろうか。多幸感が時間間隔を鈍らせて、30分くらいしか経ってない感覚だ。ライブで「もう終わってしまうんだ」と寂しさを感じたのは初めてかもしれない。

 

「replica」というツアータイトル。コンセプトは「Trail of Replicas creates the Original」"模倣することが、オリジナルを作り出す"。『benefits』『瞳惚れ』に代表されるように、懐かしいレプリカたちをオリジナルに変えてしまう今のVaundyにぴったりだ。あまりにも精巧に作りこまれた彼の世界で、僕たちはいつまでも幸せに踊り続ける◢

 

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セットリスト

1. まぶた
2. 灯火
3. 踊り子
4. 置き手紙
5. benefits
6. HERO
7. 裸の勇者
8. 忘れ物
9. 瞳惚れ
10. 融解sink
11. 恋風邪にのせて
12. mabataki
13. しわあわせ
14. 不可幸力
15. CHAINSAW BLOOD
16. 泣き地蔵
17. soramimi
18. 怪獣の花唄

スガシカオ『国道4号線』が描く『黄金の月』の光【千夜千曲・第13夜】

スガシカオ新作「イノセント」の詳細発表、デビュー記念日の特別ライブも決定(動画あり) - 音楽ナタリー

「千夜千曲」計画。グッドミュージックをちょっと変わった目線でレビューします。一日一曲、音楽発掘のきっかけとなるような曲をspotifyプレイリストに追加し、選曲理由を記事に。今日は第13夜。

 

【第13夜】国道4号線 / スガシカオ
(2022.2リリース)

スガシカオの25周年を飾る大傑作アルバム『イノセント』の11曲目『国道4号線』。その歌詞には「黄金の月」というワードが登場する。他のアーティストの曲なら「満月のことね」とスルーしてしまうのだが、彼の曲となると事情が違う。そう、『黄金の月』とは、スガシカオの音楽を語る上で絶対に外せないあの名曲のタイトルでもあるのだ。

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『黄金の月』と『国道4号線』。儚げで、絶望の中に希望が見え隠れしていて、どこか似た匂いをまとっている2曲。『黄金の月』で描いた世界は『国道4号線』にどう繋がっているのだろうか?歌詞から考察してみたい。

古来から人は夜空を見上げ、月の形から季節の移り変わりを予測していた。つまり月の満ち欠けは人間に時間の経過を教えてくれるものだったのだ。『国道4号線』でも月が時間を表す存在だと仮定して、歌詞を見てみよう。

《いつしか細い三日月は 新月にもうなってた》...①
《細くあたたかい わずかな月明かり》...②
(『国道4号線』(2023))

①・②は月の満ち欠けの描写だが、ちょっとした違和感がある。月は「新月→三日月→上弦の月→満月→下弦の月→二十七日月→新月」と形を変える。これを踏まえると①のように三日月がいきなり新月に変化することはない。つまり①の「三日月」は新月になる直前の「二十七日月」であると解釈するのが自然だ。とすると①は「消えかけの二十七日月が、ついに新月に変わり、明かりが消えてしまった」という描写だと受けとれる。新月は光を持たず、夜を照らせない。まさに「どん底」の状態、絶望の象徴だろう。

しかし同時に新月は「始まり」を告げる合図でもある。占星学でも新月は新しいことが始まる暗示だ。その言い伝えのとおり、②ではまた月が満ち始めている。新月だった月は三日月、上弦の月と変化し、やがて満月=「黄金の月」になるのだろう。月はどんどん満ちてゆく。


では、両者で歌われる「黄金の月」とは何だろうか。

《そして夜空に黄金の月をえがこう/ぼくにできるだけの光をあつめて》...③
(『黄金の月』(1997))

《どうか ぼくの未来にある光を 君が全部使ってください》...④
《ぼくの未来にある光で 君に輝いて欲しいから》...⑤
(『国道4号線』(2023))

2曲の中で光は「あつめるもの」。心にある絶望=暗闇の中からかすかな希望=光をかき集めてできるのが「黄金の月」。


月は光がないと輝くことはできない。満月になろうとするとき、光が足りなくならないように。これからは別々の道を行くけれど、夜空に「黄金の月」がきちんと輝くように、光をあつめ続けるよ(君の力になるよ)、と歌っている。

つまり④⑤の真意は、表現こそ違えど「夜空に黄金の月をえがこう」。

もう説明するまでもないだろう。国道4号線』は2023年バージョンの『黄金の月』なのだ。『黄金の月』を書いた当時30歳のスガシカオは、56歳になり『国道4号線』を書いた。絶望の中にある微かな希望を求めて生きる、その美しさは26年経てど色褪せない。彼が描く「黄金の月」は、今も僕らの人生を照らし続ける

 

<第12夜 - 第14夜(準備中)>

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マハラージャン『くらえ!テレパシー』が描く言葉の「無力さ」と「力」【千夜千曲・第12夜】

「千夜千曲」計画。グッドミュージックをちょっと変わった目線でレビューします。一日一曲、音楽発掘のきっかけとなるような曲をspotifyプレイリストに追加し、選曲理由を記事に。今日は第12夜。

 

【第12夜】くらえ!テレパシー / マハラージャン
(TVアニメ『トモちゃんは女の子!』主題歌/2022.1リリース)

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恋心を相手に伝えたいけれど、面と向かって言うのは恥ずかしい。だからいっそ勝手に思いが届いてくれないかーーこんな感情を「この思い、君に届け」「気づいて欲しい、この気持ち」といった歌詞に乗せて歌う往年のラブソングは、いつの時代も恋する人間たちに優しく寄り添ってきた。

この歌も本質的には同じことを描いている......はずなのに、ちょっと毛色が違う。「くらえ!テレパシー」。すこし遠回しな、だけどやんちゃで軽やかなタイトルには主人公「トモちゃん」の思いが詰まっている。そして歌詞も最初から最後まで彼女の身悶えが伝わってくる言葉選びだ。


テレパシーとは......

テレパシー [te-lep-a-thy]

ある人の心の内容が感覚的手段によらず直接他の人に伝わること。(マイペディア百科事典より)


『トモちゃんは女の子!』はボーイッシュな女子高生・相沢智(「トモちゃん」)と鈍感な幼馴染・久保田淳一郎の物語。智は淳一郎に「好きだ」と愛の告白をするが、淳一郎は「親友として好き」と解釈し、自分も「親友として愛してる」と返すところからストーリーが始まる
。智はずっと淳一郎を異性として意識しているが、当の淳一郎は智の気持ちに全く気付かず、「幼馴染」としてしか見ていない。

何というクソ鈍感野郎......。智が随所で淳一郎をぶん殴ってしまうのもうなずける。でもこんなにまっすぐな智なら「伝われ!」「君に届け!」といった淳一郎に訴えかけるような直接的な表現が歌詞に出てきてもいいのに、と思う人も多いだろう。では、なぜ歌詞全編を通してそのような表現がないのか。超素直になるとすれば、「男勝りな彼女は恋心の直接的な表現を女々しくて恥ずかしいものだと思っている」と解釈できるだろう。けれど、ここではちょっと変わった解釈をしてみたい。


それは智が「言葉の無力さ」を感じているからなのではないだろうか。つまり、「あなたが好きです」というこれ以上ないくらい直接的な言い方をしても思いが全く伝わらないなら、言葉なんて意味ないじゃん、と感じているのだ。言葉が使い物にならないもどかしさと焦りで、智は本当にあるのかすらもわからない最終兵器「テレパシー」に頼ろうとする

ちなみにテレパシーは、自分の感情を相手に伝えるだけじゃなくて、相手の感情を読み取ることもできるらしい。送受信が両方可能なのだ。「何考えてるかわからない淳一郎」に対してもどかしく感じて、「送信=思いを伝えたい」だけではなく「受信=自分のことをどう思っているか知りたい」気持ちもテレパシーに託そうとしている。


そして最後に、この心情をより映像的にしてくれるのが歌詞の肉体感だ。《ジャブ・ストレート
》《蹴飛ばしたい》《叫びたい AHHH》と体の一部を使った「動き」の表現が目立つ。そもそもタイトルも「くらえ!」とかなりフィジカルだ。智のスポーティーな出で立ちや突飛な行動が目に浮かぶ臨場感maxの歌詞。こんなに生き生きした言葉がこれまでにあっただろうか。「言葉の無力さ」を歌う歌詞で「言葉の力」を知る。これこそがまさにマハラージャンの真骨頂であり、専売特許、誰にも真似できない技なのだ◢


<第11夜 - 第13夜>

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【2022年版後半戦】関ジャム「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」ランキング4~1位【完全書き起こし】

関ジャム 「2022年 プロ厳選のマイベスト10曲」完全書き起こしです(各選者のコメント付き)。2021年版はこちらからどうぞ。

 

1/29放送回(4~1位)の文字起こしです。
1/22放送回(10~5位)はこちら

 

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目次

 

毎年恒例!業界も大注目の人気企画!
売れっ子プロが選ぶ2022年のマイベスト10曲とは?
お馴染みの蔦谷好位置いしわたり淳治に加え、今回は、番組でもたびたび楽曲が取り上げられる、きのこ帝国の作詞作曲を担当し、現在はシンガーソングライターとして活躍する佐藤千亜妃が初参戦!

それぞれが、2022年発表曲&話題曲の中から、独自の目線でランキングを作成!
ヒット曲の音楽的スゴさや、知られざる名曲に出会える!!
SNSから人気に火が付いた曲から彗星の如く現れたアーティストが続々!!

2022年のランキングには一体どんな曲が登場するのか!?

 

関ジャムマイベスト完全予想はこちら ↓

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1/22放送回(10~5位)はこちら

 

いしわたり淳治

1位 エジソン / 水曜日のカンパネラ

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TikTokでのダンス動画もバズった
中毒性がたまらない曲

「2022年の音楽シーンで一番軽やかに鳴り響いた歌!!」

「昨今、身の回りには音楽以外にも、アニメ、ゲーム、SNSなど......身近なコンテンツはたくさん溢れていて、個人の時間の奪い合いです。音楽は何かをしながらカジュアルに聴く、所謂『ながら聴き』の機会が増えた気がします。その意味で、普段の何でもない時間を、何でもなく彩るような、カジュアルで軽やかな音楽のニーズが高まっているような気がしていて、2022年、一番軽やかに鳴り響いたのはこの歌だったのでは......と思います。」

「『何かをしながら聴ける』というのが音楽の良さでもあって。そうなってくると音楽のニーズって『ながら聴き』っていう言葉があっているのかわからないですけど、そういうカジュアルな聴き方はここから先もっともっと増えてくると思うんですね。ってなってきたときに、果たして人生訓が必ずこの歌にあるべきなのか?とか必ず悲しみを悲しいまま歌い上げるべきなのか?とかっていうのはまたちょっと(音楽への)考え方が違うタームに入っていくのかなと思っていて。」

「(水曜日のカンパネラは)ものすごくそのやり方のバランス感覚・センスが良くて。重くなりすぎないし、軽くもなりすぎない。すごくポップで軽やかに響いて、今の時代の風を一番浴びてる人たちなのかなって僕は思います。」

 

2位 恋だろ / wacci

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令和の新たなラブソング!!
10代から圧倒的な支持を得たドラマ挿入歌

2012年メジャーデビュー。同曲はドラマ『やんごとなき一族』挿入歌であり、第64回日本レコード大賞優秀作品賞受賞のほか、LINE MUSIC 10代トレンドランキング1位(7月度)を獲得するなど、若者から多くの支持を集めたラブソング。

「Aメロで『身の程はわきまえているつもりだ』と前置きをした上で、君に夢中になる自分を『バカみたい』と俯瞰で笑い、それでもサビで『勝手に 今日もただ君が好き』と言い切る格好良さ。『性別や年齢や年収など、何もかも関係ないのが恋だ』と歌うこの歌は、恋に興味がない若者が増えているといわれる昨今の『恋をしない理由』に真っ向から挑む、とても勇敢な歌に聴こえます。」

「今回普通に選んでいったんですけど、J-POPの分量が少ないなって気づいたんですけど、これが"THE・J-POP"じゃないですか。J-POPのラブソングを一番アップデートしてるのはこの歌だなって僕は思って。だってサビに『年収』って言葉が入ったのって初めてじゃないですかね。恋をしない若者が増えてきたみたいな報道をよく聞く。恋をしたくない、しない理由っていろいろあると思うんですけど、それを一個一個つぶしていく感じとか、『論破』って2022年のトレンドだった気がしません?2022年っぽい、一番最先端のラブソングっぽいフォルムだなと思いますね。」

「wacciが、ちょっとback number的な感じもあるじゃないですか、ほんと王道っていう。今の時代にこれをやるのって、むしろ戦ってるな、と。ちょっとパンキッシュにも感じちゃうくらい。ごまかしが効かないっていうか、いい曲でいい歌詞じゃないと絶対ダメなので、それができているのがすごいなと。」(蔦谷好位置

 

3位 ファジーサマー / Lucky Kilimanjaro

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2020年のベスト10で蔦谷も選出
都会的なサウンドが特徴の6人組バンド

Lucky Kilimanjaro:2018年メジャーデビュー。大学の軽音サークルの仲間で結成された6人組バンド。2020年のマイベスト10では蔦屋好位置が同バンドの楽曲(『とろける』)を6位に選出。

「文学的な佇まいの言葉がものすごく心地良い。歌詞を深読みしてみても、ただ音として口ずさんでみても、純粋に格好良い日本語だなと感じます。」

「歌の歌詞は小説に比べると書ける分量が少ないので、『伝えなきゃいけないことをいかに最短ルートで伝えるか』と言葉を道具として使いがちなんですが、ごくまれに歌の中でも純文学のように豊潤な日本語を使える人がいて、そっち側の匂いを感じるというか。なんか憧れますね、僕にはそういう感覚があんまりないので。」

 

4位 PAKU / asmi

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TikTok29億回再生!!
カワイイ振り付けもバズった女性シンガーの一曲

「感情ではなく動作を歌にしたSNS時代の新たなキャッチーの生み出し方」

asmi:大阪在住、22歳のシンガーソングライター。関西アマチュアミュージシャンの登竜門的大会「十代白書」で2020年グランプリを獲得し注目。
meiyo(作詞作曲):シンガーソングライター。2021年にTikTokに投稿した『なにやってもうまくいかない』で注目を浴び、メジャーデビュー。

TikTokでは130万本以上の動画で楽曲が使用され、その総再生数はなんと29億回超えに。

「何をパクっとしたいのかは分からないけれど、私たちの生活の中にも『パクっとしたい』瞬間はあります。歌詞というのは心の奥のまだ言葉になっていない感情を歌にすることが長らく正解とされてきた気がしますが、TikTokのようなSNSが流行して以降、まだ歌になっていない『動作』を歌にすることも新しいキャッチーを生み出す上で1つの要素に。」

 

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1/22放送回(10~5位)はこちら

 

佐藤千亜妃

1位 ELEVEN / IVE

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デビューから1年で紅白出場まで果たした
6人組ガールズグループのデビュー曲

「楽曲のギミックに衝撃を受けた」

IVE:2021年に韓国でデビューした6人組ガールズグループ(韓国人5人・日本人1人)。3rdシングルアルバム『After LIKE』が韓国でミリオンヒット!!そして昨年10月には『ELEVEN -Japanese ver.-』をリリースすると、紅白初出場も果たした。

エスニックなテイストも魅力的で、飽きさせない楽曲構成とメロディーに感服。中でも衝撃的だったのが、サビ前2小節の大胆なテンポチェンジ。サビ前にリット(だんだん遅く)していて『その後どうなるんだろう?』と思ったらサビから急にテンポが戻る。サビの起爆力にも繋がっているという意味でただ奇をてらっているのではなく、機能としてもめちゃくちゃ理にかなっているアレンジ。」

「これ『テンポチェンジ』って言わせてもらったんですけど、諸説あるみたいで。『テンポチェンジではなくて曲の拍数が変わっている中でしかも裏を取っている(から遅く聞こえる)』みたいな考察も上がっていて、ギミックをいろいろ考察できる部分があるなということでこの曲を選ばせていただきました。

「姪っ子が中学生なんですけど、『最近音楽とか何聴いてるの?』とか久々に会ったときに訊くと、やっぱりほとんどK-POPで。ティーンネイジャーの子たちは『聴いてて当たり前』になってるみたいで。」

「いやすごいですね。ほかのK-POPのアーティストとかもそうですけど、『これやっていいのか?』みたいなことを平気でやるんですよね。それだけ自由だし、そういう意味でも日本のJ-POPの感じとは違いますね。意外性の出し方というところで。」(蔦谷好位置

 

2位 ミックスナッツ / Official髭男dism

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超人気バンドが書き下ろしたアニメ主題歌

「ボーカリストとして圧巻の歌唱力に震え上がりました」

TVアニメ『SPY FAMILY』第1クールオープニング主題歌として書き下ろされた楽曲。

「遊びのあるリズムと、こんなに速い疾走感の中でも歌い上げながら駆け抜ける藤原さんの圧巻の歌唱力。ヒゲダンのオシャレなイメージとは違い『こんなことも出来ちゃうんだ』と新たなスゴさが見えた曲です。」

「ボーカリゼーションもそうですし、疾走感も気持ちいいんですけど、そこもさることながら、歌詞がすごくよくてですね。『ミックスナッツ』というタイトルなんですけど、曲の詞の中でのメインは『ピーナッツ』について書かれてるんですよね。というのも本来ナッツは木の上になるもので、ピーナッツだけ地中で生まれるものっていう。それを『SPY×FAMILY』というアニメのストーリーのメタファーとして用いて作ってるという発想にも感銘を受けましたね。」

「いやもう(藤原)聡くんは毎回すごすぎますよ、天才中の天才ですよ。『Subtitle』という曲も去年出したけどすごかったですからね。ただ、よっぽどのことがないと僕は選ばない(笑)。」(蔦谷好位置

 

3位 美人 / ちゃんみな

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女性から絶大な支持!!
ルッキズムをテーマにした衝撃作

「2022年に披露した『THE FIRST TAKE』でのパフォーマンスが大きな話題に!!」

リリースは2021年だが大きく話題になったのは2022年ということで選曲。

「この曲はルッキズム(外見至上主義)的な批判を経験したちゃんみなさんだからこそ書ける曲。この悲痛な感じは、誰からも好かれる聴き心地の良い曲ではないリスクを知りながら、さらけ出し、表現として勇気を出して書いたのでは、と思うと胸が熱くなりました。」

注目したパンチライン

"ちゃんみな最近まじかわいい
私は忘れないあの嵐
あの時私はまだセブンティー
あの時言ったよな

You can't be beautiful
You can't be famous
醜いブスが歌ってんじゃないよ
あの時狂った精神に才能が開花
味わった幸も不幸も一般じゃなかった"

「音楽が商業的な側面だけじゃなく、誰かにちゃんと届いて守ってくれる盾になったり、戦える武器になったり......こういう曲も音楽業界は大事にしていきたいよね、と感じた曲です。」

ちゃんみなさんのエッジの効いた曲というのがどんな風に世の中に受け入れられるんだろうなというのを見ていたら、やっぱり2022年になって徐々に浸透していって。それぞれの違いを肯定できる世代が増えてきているんじゃないかなと思っていて、その裏付けとなるような、それを引っ張っていってくれるような。ポジティブなメッセージも実は潜んでいる、強い曲だなと思った。」

 

4位 VENOM / Stray Kids

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韓国が最新ミニアルバムがトリプルミリオン!!
世界が注目する8人組ボーイズグループ

「イントロから惹きつけられるトラックが耳から離れなくなる曲」

Stray Kids:韓国のオーディション番組から誕生した、2018年デビューの8人組ボーイズグループ。TWICEやNiziUを生んだJ.Y.Parkが統括プロデューサー。昨年リリースした2枚のミニアルバム(6th『ODDINARY』, 7th『MAXIDENT』)はアメリカのアルバムチャート「Billboard 200」で1位。さらに最新ミニアルバムは韓国でトリプルミリオン。一躍K-POPを代表する存在に。

 

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1/22放送回(10~5位)はこちら

 

蔦谷好位置

1位 紫陽花 / PEOPLE 1

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次世代のロックシーンを担う
人気急上昇中の謎多きバンド

「王道の中に見せる極上のポップセンス
アイディア、センス、テクニック、パッション
全てが高次元のバンド」

PEOPLE 1:2019年12月結成。メンバーの経歴はほとんど明かされていない謎多きバンドだが、2021年ごろから各音楽配信サイトでネクストブレイクアーティストとして注目。Spotifyが注目するネクストブレイクアーティスト「Early Noise 2021」に選出。

「どの曲を選ぶか迷うほど素晴らしい作品だらけのPEOPLE 1の2022年でしたが、その中でも一番多く聴いたこの曲を選びました。少なくとも200回は聴いたと思います。美しいメロディー、限られた音数、歌詞で説明しきらない奥行き、圧巻の歌唱......すべてに感嘆した一曲です。」

「こんなにすごい曲...と衝撃を受けちゃったんですよ。『紫陽花』っていうタイトルなんですけど、花言葉が『浮気・移り気・無常』とか、そういう意味なんですよ。

"わたしは臆病で あなたは紫陽花"(歌詞)

っていうのが本音なんですよ。つまり『私は臆病であなたが浮気していることを知っているけど言い出せない』。でも愛してることも言えない。何も言えない臆病なんですよ。本音を言っているところもはぐらかしている。

"何も起こらない日々を
最上と仮定して
しまい込んだスーベニア
たまに眺めている"...(*)

”空は鉄色 心は月暈ね
温くなった布団の中
冷たいところを
探しているみたい”...(**)

とか、比喩的表現が多い。その部分のコード進行は

「F/A B♭add9 Csus4 Dm7」

っていう3456進行。3456進行っていうのはコードのルートが「3-4-5-6」と続いていく進行で、RADWIMPSの『会心の一撃』、くるりの『ばらの花』とか、ワクワクする曲で結構多いコード進行。(*)の部分はまだ浮気に気づいている主人公の曲だと感じないんですね。歌い方も比較的淡々としている。でも(**)の部分の歌唱がすごい。声が震えてビブラートがかかるんだけど、押し潰されそうなぐらい悲しい声になるんですよ。その瞬間転調するんです(F Major→F minor)。ここで『同主調転調』っていう技術が使われている。サビのコードは「Fm D♭M7 E♭ A♭」。これは王道進行とか小室進行とかって呼ばれたりしますが、すごいドラマチックになるんですよ。そこの歌詞は

"一つしかない心臓を二つ合わせたら"

つまり抱き合ってるんですよ。身体を重ねてるときですね。その後

"目をつぶって 耳をふさいで
そっと祈るよ わたし
あなたは優しい人
どんな幸せもすべてあなたに降り注げ"

は心の中で言ってるだけで、この主人公は一言も声に出していないんです。でもここの『あなたは優しい人』とか、『あなた』のことを言うときだけは結構直接的に言うんですね。

ここまでいって、確信したことがあったんです。じゃあ、なんで浮気に気づいたの?ってこと。今まで一つも描かれてないですよね。それが音を聴いてるとわかるんですよ。転調する直前、サビに行く直前、グロッケンの音が一回だけ入るんです(1:09付近)。

「これグロッケンの音なんだけど、スマホの着信音にも聞こえません?でもこれだけだったらアレンジメントのなかの1個のアイデアかもしれない。でもこれが確信に変わる部分があります。アウトロかけてください(3:30付近~)。ポツポツ雨のような音が聞こえますよね。スマホのタップ音に聴こえませんか??

紫陽花が咲く季節は梅雨の季節、雨が降ってる。紫陽花の葉に雨粒が落ちる音にも聞こえるし、スマホのタップ音にも(聞こえる)。主人公の脳内がバグって、ずっとスマホをずっといじってる映像が流れちゃってるようにも聞こえるし。となると、LINEなのかメッセージを見ちゃったのか......

っていうのを(歌詞で)描いてないのが非常に上品だなと思ったんです。歌詞で全部説明しきるなら朗読でもいい。これは音楽なので。音楽である意味っていうのがめちゃくちゃあるなと思って。もう芸術ですよ、本当にすごいと思う。」

 

2位 灯台 / Bialystocks

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2022年メジャーデビューの新星
異色の経歴を持つ2人組バンド

「映画監督とジャズピアニストによる独創的な音楽」

Bialystocks:映画監督の甫木元 空(ほきもと そら)とジャズピアニストの菊池 剛による2人組バンド。甫木元が監督・脚本・音楽を務めた映画『はるねこ』での生演奏上映をきっかけに2019年に結成。2022年にメジャーデビュー。

「映画監督でもあるVo.甫木元の抽象的で映像的な歌詞と、ジャズのバックボーンがある菊地の見事な作曲編曲能力が結実した傑作です。灯台の光、あるいは寄せては返す波のように永劫に続いていくかの如くメロディが高揚していくラストは圧巻です。」

「このバンド凄いですよ。二人とも作曲するんですけど、この曲はKey. 菊地さんが作っている。彼はジャズピアニストなのですごくジャズ的な要素が入っていて転調もすごく多いんですよ。この曲は、「旅立つ者と残された者」を「灯台の光が水平線を照らして自分のところにまた戻ってきて」みたいなことを歌詞にしていると思うんですけど、最後のサビの高揚感っていうのは未来永劫続いていくかのような魂の永劫回帰だったり輪廻転生だったり、その感じがメロディーで出ていて。

(最高音が)Bまで行ってるんですよ。始まりの音がAだから、2オクターブと半音2つ。1個のサビの中でこれだけ移動してるんですよ。」

「この曲『長7度転調』っていうのが使われているんですよ。『長7度転調』というのはCから7つ目の音(B)に転調すること。でもこれは逆に言うと半音下に転調したとも考えられますよね。それは結構(J-POPでも使用例が)あるんですよ。YOASOBIの『夜に駆ける』とか。それは『次のサビで高揚するために敢えていったん着地して落ち着かせようぜ』っていう転調なんですね。これもすごく高度な作曲テクニックだけど、J-POPの中でも比較的よく使われるんですよ。でもこの曲は半音下じゃなくて文字通り『7つ上』にいく。こんな転調聴いたことないです。魂が空に還っていくような感じもするし、非常に映像的ですばらしいなと。」

 

3位 PAKU / asmi

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若者たちがこぞって踊った
2022年のトレンド曲

「最も旬なシンガー・作曲家・編曲家によるバズが約束された強コラボ曲」

「2022年最も中毒性の高い曲だったと思います。作曲のmeiyoの2021年作品『なにやってもうまくいかない』での成功の延長にある曲調ですが、循環コード(反復するコード進行)の中、メロディーだけ転調したような瞬間を作るなど、違和感と心地よさの絶妙なラインを往来する作曲技術が非常に高いです。」

「asmiは自作自演するシンガーソングライターでありながら、各方面からの客演で引っ張りだこであるのも納得の完璧な歌唱を聴かせます。」

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「asmiさんって本当にすばらしいボーカリストだなと思いますね。さっき『THE FIRST TAKE』の映像も出ましたけど、メチャクチャ上手いですね。何度か生歌も聴いたことあるし、ライブも観に行ってたんですよ。初めてアリーナで歌うとは思えないくらい堂々としてたし、スゴイ人が現れたと思いました。」

 

4位 Habit / SEKAI NO OWARI

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あのビッグアーティストによる
SNS大ヒットバズソング

中毒性のあるダンスがSNSで大バズり!TikTokerやYouTuberがこぞって「踊ってみた動画」を投稿し、TikTokでの再生数は15億回超え。このMVはMTVの年間最優秀ビデオ賞を受賞。

「一聴して耳に残るギターリフ、歌詞、メロディーとその歌唱、そしてMV。これらは音ネタ的要素が強いSNSでのバズを視野に入れたかは不明ですが、その時代を切り取り、さらに自分たちの視点で新たな提示ができるのがセカオワというスーパープロデューサー集団です。」

 

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1/22放送回(10~5位)はこちら

 

2023年の音楽シーンはどうなる?

蔦谷好位置「2020年以降、コロナもあって、もっと多様化していくと思ったら、日本のガラパゴス化が進んでるなと思っていて。でもそれは悪いことではないと思ってて。例えばSEKAI NO OWARIの『Habit』は全世界で再生されているんですよ。でもあんな音楽世界中にないから。だからJ-POPっていうものに誇りを持った方がいいと思う。だからwacciはあのままでいいし、あれがきっと海外でもウケると思う。韓国の音楽が韓国語のままアメリカでヒットするように、日本の曲が日本のスタイルのまま海外でヒットする時代もそう遠くはないと思います。」

 

まとめ

いしわたり淳治

1位 エジソン / 水曜日のカンパネラ
2位 恋だろ / wacci
3位 ファジーサマー / Lucky Kilimanjaro
4位 PAKU / asmi
5位 考え中 / YONA YONA WEEKENDERS
6位 辛 / 今市隆二
7位 Have a nice day / imase
8位 ショック! / サカナクション
9位 i.d.m / idom
10位 Overdose / なとり

佐藤千亜妃

1位 ELEVEN / IVE
2位 ミックスナッツ / Official髭男dism
3位 美人 / ちゃんみな(リリース:2021年)
4位 VENOM / Stray Kids
5位 エジソン / 水曜日のカンパネラ
6位 WA DA DA / Kep1er
7位 お茶 / UA(Composer:永積崇(ハナレグミ))
8位 POP! / NAYEON
9位 太陽 / a子
10位 BYE BYE / chilldspot

蔦谷好位置

1位 紫陽花 / PEOPLE 1
2位 灯台 / Bialystocks
3位 PAKU / asmi
4位 Habit / SEKAI NO OWARI
5位 青二才(アルバム)/ 和ぬか
6位 KICK BACK / 米津玄師
7位 MERA MERA / Mori Calliope
8位 Tokyo feat.鈴木真海子, Skaai / yowano
9位 エジソン / 水曜日のカンパネラ
10位 Escape (feat.mimiko) / 和久井沙良

 

1/29放送回(4~1位)はこちら

【2022年版前半戦】関ジャム「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」ランキング10~5位【完全書き起こし】

関ジャム 「2022年 プロ厳選のマイベスト10曲」完全書き起こしです(各選者のコメント付き)。2021年版はこちらからどうぞ。

 

1/22放送回(10~5位)の文字起こしです。
1/29放送回(4~1位)はこちら

 

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目次

 

毎年恒例!業界も大注目の人気企画!
売れっ子プロが選ぶ2022年のマイベスト10曲とは?
お馴染みの蔦谷好位置いしわたり淳治に加え、今回は、番組でもたびたび楽曲が取り上げられる、きのこ帝国の作詞作曲を担当し、現在はシンガーソングライターとして活躍する佐藤千亜妃が初参戦!

それぞれが、2022年発表曲&話題曲の中から、独自の目線でランキングを作成!
ヒット曲の音楽的スゴさや、知られざる名曲に出会える!!
SNSから人気に火が付いた曲から彗星の如く現れたアーティストが続々!!

2022年のランキングには一体どんな曲が登場するのか!?

 

関ジャムマイベスト完全予想はこちら ↓

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1/29放送回(4~1位)はこちら

 

いしわたり淳治

5位 考え中 / YONA YONA WEEKENDERS

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サビの歌詞が機能的
メロコア・パンク出身の4人組バンド

YONA YONA WEEKENDERS:"ツマミになるグッドミュージック"をテーマに奏でるメロコア・パンク出身の4人組バンド。バンド名は「メンバー全員平日は会社員として働き夜な夜な週末にバンド活動をしていたこと」に由来。

いしわたりが注目したのはサビの歌詞。

"右か左か考え中
AかBか考え中
いつか自由になるために
今日も明日も考え中"

「一般的に歌詞というのは『本当の自分はこうだ』というような自分の中のある種の結論のようなものが歌われがち。だが、実際の私たちの暮らしはハッキリと答えを出せないことで溢れています。鼓舞するような『自分はこうだ』の歌を聴いた後も聴き手はまだまだ、当たり前に迷ったり、悩んだり、考えたりしている。それならば、『いま私は考え中』と前向きに言い切る歌があった方が何倍も機能的なのかもしれない。」

 

「いまSNSってすごく浸透していると思うんですけど、それによってなにが起きてるんだろうって考えたときに、例えばInstagramをやっている人は目の前にきれいなものがあったら『これって写真に撮ったらオシャレかな』って無意識のうちにたぶんセンサーが働くと思うんですよ。TikTokをやっている人は一秒二秒で面白い面白くないのセンサーが働くと思うんですよ。で、その無意識のセンサーが音楽を聴いたときにも発生していないわけがないんですよ。だから世の中をバッてみたときに生活感があまりなくておしゃれな音楽=『インスタ的音楽』がすごく増えているなと思いました。キーワード重視で瞬発力があるポップな曲=『TikTok的音楽』が増えていると思いません?そうかと思えば、自分の考えを自分の言葉でちゃんと言うみたいな、いわばJ-POPで脈々と続いてくるような音楽のスタイルってもちろんあって、それってどっちかというと『Twitter的』かもしれなくて。そのミックスによってその人のツボがだんだん決まってきているような気がするんですよね。」

 

6位 辛 / 今市隆二

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人気ダンス&ボーカルグループのメンバーが放つ
新しい視点のソロ曲

今市隆二三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカル。2018年1月にソロプロジェクトを始動。

「今はLINEなど短いメッセージが主流なので、突然、留守電もなく着信履歴だけが残っているのは若い世代には緊急事態を感じさせる。それをモチーフにして着信に気づかなかったことを悔やむ歌というのはとても今っぽい新しい視点だと思いました。」

「サビの切迫感のある言葉とは対照的にメロディーは甘い雰囲気で、そのミスマッチがいい違和感を生んでいます。」

 

7位 Have a nice day / imase

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TikTokでオリジナル曲の総再生数12億回突破‼
10代から絶大な支持を得る22歳

「2022年に起きた嘘のような本当の出来事」

imase:岐阜県出身の22歳。音楽活動開始わずか1年でTikTokに投稿したオリジナル曲の総再生数が12億回を突破。10代から絶大な支持を得ている。

「いち音楽リスナーだった若者が2020年に楽器を始め、2021年に作曲を始めてその年末にはメジャーレーベルと契約。そしてメジャーデビューから数ヵ月でポカリスエットのCM曲を担当し、TikTokではオリジナル曲の総再生数が12億回を超えた。これが2022年に実際に起きた嘘みたいな本当の出来事です。」

「今回僕が選んでいて、彗星のように現れるというのは2022年には重要な気がしていて。ていうのも彼は3年ぐらい前から楽器を初めて触って作曲っていうのを始めるんですけど、じゃあこの3年ってなんだったかっていうと、ざっくりいうとコロナ禍なんですね。巣ごもり需要ですごく楽器が売れた3年間だったんですよね。つまり彼のように楽器を始めた人って日本中にたくさんいると思うんですよ。『俺もいけるぞ!』っていう人がおそらくたくさんいて、その人たちに一番大きな夢を与えるのがその彗星のように現れた人なんですよ」

TikTokからのヒットがものすごい多いですね、今。そこで盛り上がればほかのサブスクも盛り上がる、みたいなのがすごい多いですよね。」(蔦谷好位置

 

8位 ショック! / サカナクション

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現在の音楽シーンを代表する男女5人組ロックバンド
一度聴いたら頭から離れない曲‼

「日常生活の中でショックを受ける瞬間は誰しもあります。何かショックを受けたときに、この歌を口ずさめばちょっとくらいの悲しみなら中和してくれそうな力がこのコミカルなサビにはあって素敵です。」

「10年くらい前って歌詞のオーダーを受けると、2言目には『共感』って言われてた時代だったんです。『人が共感するもの』っていうオーダーがすごく多かった。でも今はどっちかというと『提案』があるものの方が多いかもしれないですね。世の中に対する提案のあるもの。だからこれもネガティブな感情に対してポジティブをぶつけるっていう、これも提案の一つなんですけど、こういう考え方のものが増えていくというのは、僕はいい時代が来るんじゃないかなと思います。」

 

9位 i.d.m / idom

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コロナ自粛で音楽制作を開始!!
音楽だけでなく映像・イラスト等も手掛ける新世代マルチクリエイター

「曲にインパクトと人懐っこさを与えるイントロに注目」

idom:2022年9月にメジャーデビューした24歳。大学でデザインを専攻し、2020年からイタリアのデザイナー事務所に就職予定も新型コロナウイルスの影響で断念。そんな中、以前から興味のあった楽曲制作に初めて挑戦しメジャーデビュー。音楽以外にも映像制作・編集・イラスト制作などもこなすマルチクリエイター。

「作詞家という職業柄、耳にする音楽はいつも無意識で歌詞を聴いてしまうのですが、歌詞のないイントロ『La la la la』を聴いた瞬間『これ誰?』と胸が騒ぎました。」

「この『La la la la 』はサビの歌メロなのだけれど、イントロだけは歌詞をなくす引き算によって曲にインパクトと人懐っこさが出てスッと耳に入って来る。メロディーセンスが素晴らしい。」

 

10位 Overdose / なとり

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音楽活動1年半!!
TikTokでオリジナル曲を発表する19歳

「抜け感の良い、日本のポップ音楽の新しい王道」

なとり:2021年5月からTikTokで音楽活動を始めた19歳のシンガーソングライター。ベトナム・韓国・シンガポール・タイ・マレーシアのSpotify Daily Viral 50チャートで1位。※バイラルチャート...今SNSで話題になっている曲のランキング

TikTokでこれまでに15曲以上の楽曲を発表している。

「秋に初めてこの曲がリリースされたばかりでまだ謎の多いアーティストですが、メロディーと言葉に勘の良さを感じます。シティポップリバイバル以降の日本のポップ音楽の『新しい王道』を颯爽と駆け抜けるような抜けの良さが素敵です。こういった音楽をさらりと鳴らす若者が増えていくことで日本の音楽はもっと面白くなっていく気がします。」

 

Spotifyプレイリスト

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佐藤千亜妃

5位 エジソン / 水曜日のカンパネラ

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2012年結成
独特の世界観で人気を集める3人組音楽ユニット

「中毒性があり、癖になる曲」

水曜日のカンパネラ:2012年に結成した3人組音楽ユニット。2021年、初代ボーカル・コムアイが脱退し、2代目ボーカルとして詩羽が加入した。

「リズム・歌のメロディー・歌詞に中毒性があり、癖になる曲。」

さらに佐藤が注目したのは詩羽のボーカル。

「前任のコムアイさんと比べることすら忘れさせてしまうくらい自立したボーカリゼーション。繊細さと逞しさのハイブリッド。新生水カンは、楽曲の中毒性はそのままにこれからも面白い世界を見せてくれそうで期待が高まります。」

「昨年の冬頃に水カンと対バンさせていただく機会があって。そこからずっと、ボーカルの方が二代目になったっていうのもあって、ずっと着目してたんですけど。この曲が出て、そして最近THE FIRST TAKEで『バッキンガム』を歌ってる動画が出て、それを見て歌がすごいな、と。衝撃を受けまして。」

 

6位 WA DA DA / Kep1er

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テレビ番組から誕生!!
国境の壁を越えた女性グループ

Kep1er:韓国のオーディション番組「Girls Planet 999:少女祭典」から誕生。応募総数約1万3千人の中から選出された9人組ガールズグループ。メンバーは韓国人6人、日本人2人、中国人1人で、この曲を収録したEPは20万枚以上のヒット。

「切取り部分を変えて聴いたら全く別の曲に聴こえそうな、バリエーションに富んだ展開。数曲分のアイデアを我儘にすべて詰め込んだかのような大胆不敵さ。」

 

7位 お茶 / UA

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実力派女性シンガーと弾き語りのスペシャリストがコラボ!!

「逆再生のサンプリングから始まるイントロがかっこいい」

UA:1995年デビュー。代表曲に『情熱』『悲しみジョニー』『ミルクティー』がある。映画出演やDJを務めるなど、その活動は多岐に渡る。

「ダンスビートにたゆたう歌が大人の余裕を感じさせる楽曲。逆再生のサンプリングから始まるかっこいいイントロ。サウンドは抜け目ないのにタイトルが『お茶』。ズルいです。」

作曲はハナレグミの永積崇。

サウンドが、今も意識されながら再構築されているのかなと勝手に思ってますね。かっこいい。」

「『お茶』ってサビの頭にきたの初めてじゃないですかね。『何飲む?』って聞かれて『お茶』っていうタイミングあるじゃないですか。これ、(そのタイミングで歌ったら)最高じゃないですか?」(いしわたり淳治

 

8位 POP! / NAYEON

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日本でも活躍する
アジア初の大人気ガールズグループのメンバーがソロデビュー!!

NAYEON:アジア発の人気ガールズグループ「TWICE」初のソロデビュー。アメリカ「ビルボード200」で7位を獲得。※ビルボード200...その週に全米で人気のあるアルバムのランキング。

「突き抜けたポップネスでひたすらワクワクさせてくれる楽曲。『こう来るか!!』とニヤニヤしてしまった。確かな歌唱力を、ポップな方向に落とし込むことで気軽に再生ボタンを押したくなる親しみやすい魅力に繋がっている。」

 

9位 太陽 / a子

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作品を完全セルフプロデュースする
女性シンガーソングライター

a子:作品は完全セルフプロデュース。作詞作曲・ミックス・映像ディレクションまで自ら行う女性シンガーソングライター。

この曲では、椎名林檎のライブ・レコーディング参加や楽曲を手掛ける斎藤ネコをストリングスに迎えている。

「たまたまTwitterでライブ映像が流れてきて、どんどんハマっていったアーティスト。懐かしくなるサウンドと耳元で囁かれているようなウィスパーボイスが心地良い。」

 

10位 BYE BYE / chilldspot

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佐藤が今1番気になるという
全員が2002年生まれの4人組バンド

メンバー全員が2002年生まれの東京都出身4人組バンド。2020年、高校在学中に1st EPをリリース。2021年、Spotifyが今年躍進を期待する次世代アーティストに選出した。

「ポップさの中に隠したほんの少しのヒリつきがたまらない。大人のフリした子どものような、子どものフリした子どものような、底の知れないポップネス。今、1番気になるバンド。」

「chilldspotはライブも観たことあるんですけど、すごいいいバンドで、この曲じゃないのもいっぱいある。2年前くらいに出した曲で『ネオンを消して』っていうのがある。その当時彼らは16, 7歳で作ってるんだけど、めちゃくちゃセクシーなんですよ。声がすごく豊かで逞しい。それでいて色気があって。」(蔦谷好位置

 

Spotifyプレイリスト

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蔦谷好位置

「最初このために400曲以上あったんですね。そこから100くらいに絞って、スタッフさんと共有したのが20曲くらい。それから話し合って10曲にしたって感じなんですけど。それだけいい曲がたくさんあったので、選ぶのが難しかったですね。」

5位 青二才(アルバム)/ 和ぬか

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SNSを中心に活動する
現役大学生シンガーソングライター

22歳の大学生ということ以外は謎のアーティストの1stアルバムを蔦谷は5位に選出。

SNSでのヒットの要素には歌詞や中毒性のあるサウンドなど様々ありますが、その中でもペンタトニックスケールで構成されたメロディーも常に大きなポイントの1つです。」

※ペンタトニックスケールとは、1オクターブを5音で表現する音階のこと。古くから世界各地の民謡や童謡にも多くみられる。

「アルバムを通してペンタトニックが駆使され、プロデューサー 100回嘔吐によるサウンドとともに強烈な個性として楽曲の統一感を出しています。」

「ペンタトニックスケールを使うと和風になる。それと、すごいアップテンポな感じ。これは初期の米津玄師の影響も受けていると思う。似ているなと思いますね。アルバム通してこのペンタトニックが駆使されていて、多分彼は統一感を狙ってやっていると思う。ところが最近の曲を聴くと、さらに進化して新たなところに行ってるんですよ。若いし才能があるからスポンジのようにどんどん吸収して。言葉のチョイスも素晴らしい。」

 

6位 KICK BACK / 米津玄師

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日本のトップを走る2人がタッグを結成!!
話題のアニメ主題歌

「王の風格を纏う強大な力で
新時代を切り開くスーパーアーティスト!!」

アニメ『チェンソーマン』の主題歌として書き下ろされたこの曲には、編曲・共同プロデュースに常田大希(King Gnu / millennium parade)が参加。

「米津玄師と常田大希というとんでもないコラボによる王者の風格さえ漂う強力な曲です。一聴して絶対に覚えられない目まぐるしい転調の展開と『全部無茶苦茶にしたい』という歌詞が象徴するような咆哮に近い強烈な米津の歌唱。」

「しかし所々に、初期から通ずるような米津節のメロディーがあり、2022年最新アップデート版・米津玄師といった印象。」

「米津玄師とヒゲダンに関しては余程のことがないと選ばないと決めてるんですけど、でもよっぽどでした。もう食らっちゃいましたこれは。彼クラスじゃないとできないことだと思うし。」

「この曲、モー娘のサンプリング("努力 未来 A BEAUTIFUL STAR"の部分が『そうだ!We're ALIVE / モーニング娘。』のサンプリング)に結構注目されててそれも面白いんですけど、チェンソーマンの舞台である1997年に出たRadioheadの『OK Computer』っていうアルバムがあるんですよ。その中の『Paranoid Android』っていう曲のリフと(『KICK BACK』の)イントロが一緒なんですよ。わざとやってるんですよ多分。」

「ドラムベースのビートも97年くらいに流行ってたんですよ。ミュージックビデオもBeastie Boys(1990年代に全盛期)とかその辺からインスパイアされたものだと思うんですね。」

チェンソーマンの1話を観ようと、米津さんの曲も聴こうかと思って開いたときに、こう来たか!と。もう音楽やめよう、と思いました。全期待に応えながら、裏切りながら、突き刺される感じで。いろんな音楽の良いところをしっかりと集めながら米津さん風にしっかりと提示しなおしているってところでめちゃめちゃ熱い一曲だなと思っていた。」(佐藤千亜妃

 

7位 MERA MERA / Mori Calliope

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YouTube登録者200万人超えの
超絶ラッパー

Mori Calliope:2022年メジャーデビューしたVTuberラッパー。チャンネル登録者数218万人。メジャーデビューEP「SHINIGAMI NOTE」が世界6ヵ国・地域でiTunesアルバム総合チャート1位を獲得。

エミネム顔負けの高速フロウを聴かせたと思いきや、J-POPらしいキュートな声で歌唱するなど、凄まじくハイレベルな表現技術を惜しみなく披露しています。」

「プロデューサーのGiga(Ado/ゆず/和田アキ子/まふまふ などを手掛ける)によるトラックが最高で、Mori Calliopeの音楽性と可能性を最大限に引き出していると思います。」

 

8位 tokyo feat. 鈴木真海子, Skaai / yowano

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2019年メジャーデビュー 福岡出身の4人組バンドが
実力派ラッパー2人とコラボ!!

yonawo:福岡で結成。2019年、メジャーデビュー。寝る前に聴きたい "ベッドタイムサウンド" が特徴の新世代バンド。「SUMMER SONIC」をはじめ、全国各地のフェスにも多数出演するなどライブシーンでも精力的に活動。

この曲では、親交のある鈴木真海子・Skaaiの2人の実力派ラッパーが参加。

「削ぎ落とした音数で隙間とグルーヴを感じさせられるループを作り、さらに美しいメロディーと耳に残る言葉選びと遊び、それをバンドでやっているのが最高です。」

「共同生活をしている家でレコーディングができるみたいなんですね。この曲を出したばっかりの時、そこでインスタライブをやってたんですよ。みんなでワイン飲みながら、この曲を流しながら歌ってたんですけど、すげー楽しそうなんですよ。」

 

9位 エジソン / 水曜日のカンパネラ

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TikTok投稿動画総数 16万超え‼
キャッチーな振り付けがバズった曲

「中毒性サウンドの天才発明家が新アイコンを迎えての第2章」

「日本でボーカリストが変わって成功する例はごく稀ですが、その至難の業を水曜日のカンパネラは成し遂げました。Dir.Fの慧眼、ボーカリスト詩羽の度胸と覚悟、そしてケンモチヒデフミの才能が爆発しています。中毒性サウンドの発明家と言っても過言ではないケンモチヒデフミの自伝的な内容とも取れる歌詞が非常にエモいです。

「いやあ、すごいと思いましたやっぱり。ボーカリスト変わって、しかもコムアイさんってあんだけカリスマ性があるアイコンじゃないですか。でもその匂いをちゃんと残したまま、アップデートしてますよね。本当に素晴らしいなと思いますね。」

ケンモチヒデフミは相変わらず天才ですね。本当にすごいです。誰とも似ていないんですよ、サウンドも。もちろんダンスミュージックでもあるんだけど、今SNSでバズってるようなボカロの影響を受けた曲とかチルっぽい曲とか、何にも当てはまらないんですよ。」

 

10位 Escape (feat.mimiko) / 和久井沙良

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東京藝術大学出身
24歳のスゴ腕女性アーティスト

「邦楽界を支えるスーパー鍵盤奏者のリーダー作」
※楽器奏者がリリースするアルバム作品

和久井沙良:栃木県生まれ24歳の作曲家・鍵盤奏者。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業。3歳よりピアノ、9歳より作曲を始める。これまで、ずっと真夜中でいいのに。/TK from 凛として時雨藤原さくら/一青 窈/yamaなど数々のアーティストにサポートミュージシャンとして参加する一方で、2022年、ソロプロジェクトをスタート。第4弾となるこの曲では客演にシンガーソングライターmimikoを迎えた。

「知性とパッションを兼ね備えながら非常に歌心がある楽曲とピアノ。ソロの中にもキャッチーさが見えてくるのは彼女がポップスのフィールドとも密接にかかわっていることも少なからずあるでしょう。新たな世代のジャンルを超える存在として、今後の活躍が期待されます。」

 

Spotifyプレイリスト

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まとめ

いしわたり淳治

1位 エジソン / 水曜日のカンパネラ
2位 恋だろ / wacci
3位 ファジーサマー / Lucky Kilimanjaro
4位 PAKU / asmi
5位 考え中 / YONA YONA WEEKENDERS
6位 辛 / 今市隆二
7位 Have a nice day / imase
8位 ショック! / サカナクション
9位 i.d.m / idom
10位 Overdose / なとり

佐藤千亜妃

1位 ELEVEN / IVE
2位 ミックスナッツ / Official髭男dism
3位 美人 / ちゃんみな(リリース:2021年)
4位 VENOM / Stray Kids
5位 エジソン / 水曜日のカンパネラ
6位 WA DA DA / Kep1er
7位 お茶 / UA(Composer:永積崇(ハナレグミ))
8位 POP! / NAYEON
9位 太陽 / a子
10位 BYE BYE / chilldspot

蔦谷好位置

1位 紫陽花 / PEOPLE 1
2位 灯台 / Bialystocks
3位 PAKU / asmi
4位 Habit / SEKAI NO OWARI
5位 青二才(アルバム)/ 和ぬか
6位 KICK BACK / 米津玄師
7位 MERA MERA / Mori Calliope
8位 Tokyo feat.鈴木真海子, Skaai / yowano
9位 エジソン / 水曜日のカンパネラ
10位 Escape (feat.mimiko) / 和久井沙良

 

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【2022年版】関ジャム「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」③ガチ予想&答え合わせ

「関ジャム  プロが選ぶ年間マイベスト10曲」ランキング、ガチで予想します。30曲完答目指す。

 

目次

はじめに

三部構成の最終回です。①②を読んでいない方はそちらもどうぞ。

① 2016-2021総復習編
② 2016-2021選曲分析編
③「2022年マイベスト10」ガチ予想編 ← イマココ

 

今回は ③「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」ガチ予想編。いよいよ三人の選曲をガチで予想します。

 

毎年好評!業界も大注目の人気企画!音楽のプロが選ぶ2022年の年間ベスト10は?お馴染みのいしわたり淳治蔦谷好位置に加え、今回は佐藤千亜妃が初参加!2022年に発表された楽曲の中から、独自の目線でランキングを作成!ヒット曲の音楽的スゴさや知られざる名曲が続々!!さらにブレイク必至のアーティストが丸わかり!複数のプロが選んだ新星アーティストも!!今回のランキングにはいったいどんな曲が登場するのか!?

 

いしわたり淳治

ガチ予想

1位 キャラクター / 緑黄色社会

2位 ミックスナッツ / Official髭男dism

3位 恋だろ / wacci

4位 Habit / SEKAI NO OWARI

5位 エジソン / 水曜日のカンパネラ

6位 Radio Star / Subway Daydream

7位 Comedy / Tele

8位 School / Chilli Beans.

9位 アイラブユー / back number

10位 888月 〜夏にも程がある〜 / リサイタルズ

答え合わせ

1位 エジソン / 水曜日のカンパネラ

2位 恋だろ / wacci

3位 ファジーサマー / Lucky Kilimanjaro

4位 PAKU / asmi

5位 考え中 / YONA YONA WEEKENDERS

6位 辛 / 今市隆二

7位 Have a nice day / imase

8位 ショック! / サカナクション

9位 i.d.m / idom

10位 Overdose / なとり

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佐藤千亜妃

ガチ予想

1位 キャラバン / サカナクション

2位 ふぞろい feat. Tani Yuuki & ひとみ from あたらよ(feat. Tani Yuuki & ひとみ from あたらよ)/ KERENMI(蔦谷好位置

3位 HOPE for US feat. 磯野くん(YONA YONA WEEKENDERS), AAAMYYY(Tempalay), TENDRE, 吉田沙良(モノンクル) & Ryohu(KANDYTOWWN) / 冨田ラボ

4位 光るとき / 羊文学

5位 世界はここで回るよ / 君島大空

6位 mabataki / Vaundy

7位 Hank / 中村佳穂

8位 宝探し / くるり

9位 灯 / paionia

10位 BE ME / Doul

答え合わせ

1位 ELEVEN / IVE

2位 ミックスナッツ / Official髭男dism

3位 美人 / ちゃんみな(リリース:2021年)

4位 VENOM / Stray Kids

5位 エジソン / 水曜日のカンパネラ

6位 WA DA DA / Kep1er

7位 お茶 / UA(Composer:永積崇(ハナレグミ))

8位 POP! / NAYEON

9位 太陽 / a子

10位 BYE BYE / chilldspot

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蔦谷好位置

ガチ予想

1位 subtitle / Official髭男dism

2位 Deadstock(feat. きのぽっぽ)/ PEOPLE 1

3位 KICK BACK / 米津玄師

4位 Talking Box(Dirty Pop Remix)/Wurts

5位 裸の勇者 / Vaundy

6位 W/X/Y / Tani Yuuki

7位 Mirage 全作品 / Mirage Collective

8位 MELODY(prod.by BREIMEN)/ 岡野昭仁×井口理

9位 おかしな気持ち / 小原綾斗とフランチャイズオーナー

10位 Baby I love you so / 清水翔太

答え合わせ

1位 紫陽花 / PEOPLE 1

2位 灯台 / Bialystocks

3位 PAKU / asmi

4位 Habit / SEKAI NO OWARI

5位 青二才(アルバム)/ 和ぬか

6位 KICK BACK / 米津玄師

7位 MERA MERA / Mori Calliope

8位 Tokyo feat.鈴木真海子, Skaai / yowano

9位 エジソン / 水曜日のカンパネラ

10位 Escape (feat.mimiko) / 和久井沙良

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各選者の詳しいコメントはこちら

almost.hatenablog.jp

 

結果

5/ 30曲

 

え......。

まとめ

※藤井風、秋山黄色は僕は絶対ランクインすると思ったけれど、いろいろあってテレ朝が避けそうだなぁと思ったので除外(各自調べて)。結束バンド、New jeans『Ditto』もランクインすると思ったがリリースが12月なので除外。もうすこしリリースが早ければ入れてた。

 

難しすぎ......。