almost...

分析と爆発のあいだ

Vaundyにちゃんぽん強要されてゲロ吐く(Vaundy『花占い』)

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Vaundyの曲を酒とするならば、ちゃんぽんするのは危険すぎる。絶対ゲロ吐く。そのくらい曲の振り幅がすさまじい。一人の人間が作り出せる限界を超えてる。

 

「Vaundyって何のジャンルなの?」って質問されたら絶対言葉に詰まるか「東京フラッシュとか「不可幸力」「life hack」はVaundyのアイデンティティともいえるソウル / ヒップホップナンバーなんだけど、「僕は今日も」「しわあわせ」なんかは'10s J-Popを彷彿とさせるロックバラードなんだよね。で「Bye by me」ではアンプラグド、歌声だけで魅せるポテンシャルの高さがわかるし、「灯火」「怪獣の花唄」ではポップ・ロックの限界をたっぷり探求してる。「世界の秘密」「融解sink」でメロウな'90s R&Bにチャンネルを合わせたかと思えば、「benefits」はNirvanaとかOasisを筆頭とする80'sのオルタナと90's-UKロックのミクスチャーなのよ。だからジャンルはソウルなヒップホップ系オルタナUKアコースティックロック的ポップって感じかなウヘヘヘ」と超絶早口小声で説明してしまいそう。

 

シングルだけを見ても、

1st「東京フラッシュ」, 2nd「不可幸力」ストロングゼロの500mL缶。初っ端からかなり強めの酒を浴びせてきた後、3rd「僕は今日も」は度数こそ少し弱いがしっかり酔える梅酒。4th「life hackは再び一転して度数の高い紹興酒5th「Bye by me」はカシスオレンジ、カクテルだ。6th 「灯火」はレモンサワー、7th「怪獣の花唄」はコーラハイといったところか。8th「世界の秘密」で新潟のコシヒカリを贅沢に使い樽で作った日本酒を升から飲み干したら、9th「融解sink」は甘い甘いカルアミルク。10th「しわあわせ」はワインの白、辛口。11th「benefits」でイギリスの黒ビール。

 

これだけの種類と量の酒でベロベロ(というかゲロゲロ)になったところにとどめの一撃としてマスターから出されたのが 12th「花占い」というわけだ。ちゃんぽんでぼろぼろになった身体にさらに毒を盛る。レモンをたっぷり絞ったハイボールかと思って一気に呷ったら中身はアルコール度数43度のウィスキー、中川大志新木優子の幼馴染ラブストーリー添え。酔いが回る。俺嘔吐、気分は躁、躯体(からだ)はGo、冷めやらぬSoul、ぶっ倒れても掲げるNo、救急で搬送、俺死にそう、お前もそう、So Yeah......

 

 ゲロ吐いてもいい。今は酒浴びまくって吐き散らかす、あの苦痛に満ちた快感が恋しい。Vaundy、俺に酒を注いでくれ......俺の肝臓の運命はきっと占う前から決まってる。

 

2021年6月 ベストソング10曲

 6月に狂ったように聴きまくった曲を集めました。

 

1. 後付 / 小林私

リリースはちょうど今日の0時だったのだが、とにかくヤバすぎて夜中聴き狂った。急遽このリストに加えざるを得なかった。興奮して寝れなかった、そのくらいヤバい。R&Bにバイオレンスと怒りをぶち込むとこうなるんだという、壮大な実験のなかにぶち込まれたような感覚。「超・ダークサイドR&B」に魂が震えてゲロ吐いた。

 

2. 一服 / 東京事変

超危険な合法MUSIC。バジルとパセリを粉にして吸ってるみたいなもんか。正直これがまだ法律で取り締まられていないことに驚きを隠せない。いいんか警察。東京事変が世にはびこってるぞ。こんな気持ちいいもの、ほっといていいはずがなかろう。超好き。マジ好き。2分ちょいしかないから一日30回は軽く聴いてる。

この曲は特にそうなのだが、アルバムを通じて仕掛けが施されまくってる。聴くびっくり箱。具体的な仕掛けについてはこっちに詳しく書きました ↓

almost.hatenablog.jp

 

3. NAMELY / UVERworld

超鳥肌曲。サビで毎回腕がニワトリになってしまう。カントリー×TAKUYA∞の高音ハスキーで気持ち良すぎて汗噴き出る。

それで思い出したが、とにかく鳥肌がひどい、というか鳥肌の形が最悪なのをなんとかしたい。感動したりすると、毛穴ごととれるんちゃうかってくらい毛根がモッコモコに盛り上がって全身乳首人間と化す。猥褻物陳列罪に問われる前に何とかして治したい。対策知ってる方はDMください......

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4. 夜空になりたくて / kobore

ここを一つ逃すと しばらく待つ
最寄り駅のホームから 快速が僕を横切る

歌詞超好き。《ここを一つ逃すと しばらく待つ》のシンプルな言葉で「快速が止まらない最寄り駅で一本前の普通電車を乗り逃して待ちぼうけしてる」情景がブワッと全部あふれ出すように描かれるのマジでずるい。高校の頃に出会ってたら、特急も急行も止まらない最寄り駅で永遠に立たされるクソみたいな待ち時間も少しはマシになっただろうか......

 

5. 潮風のアリア / くるり

 妄想シチュエーションシリーズ、くるり編 ↓

almost.hatenablog.jp

 

 6. PINK BLOOD / 宇多田ヒカル

 サビ is どこ。メロウな浮遊感に酔っていたらいつの間にか曲が終わっている恐怖曲。One Last Kissとはまた違う危険な愉悦......

 

7. all the same / 坂東祐大 feat. Gretchen Parlato, Bigyuki

『大豆田とわ子と三人の元夫』 劇中歌

グラミー賞ノミネート・シンガーであるGretchen Parlatoと、米津のプロデュースも手掛ける坂東祐大、全米4位のシンセサイザー奏者・BIGYUKIとの激熱コラボ。Gretchenのルーツであるジャジーな雰囲気を壊さずに、坂東のクラシカルな弦楽、そしてBIGYUKIの鍵盤が重なる。ぴったりハマるんだなこれが。前後に揺れるリズムのなかでぴったり調和してるのが気持ち良い。クラシック、宗教音楽、ジャズ、ポップをすべてトップレベルの精密さでで一曲で味わえる贅沢よ。わがままボディになってしまうゥゥゥ......

 

8. hikari / eill

若き日の宇多田ヒカルだ......というのはまだまだ第一線を進み続ける彼女に失礼かもしれないが、和製R&Bの申し子がまた一人現れた。拍をズラしたギターリフとフェイクと沈むようなビートで逝く。

 

9. 解夏 / WurtS

超絶怒涛の韻踏み昇天ソング

 

10. benefits / Vaundy

和製Oasis現る。

一人で何個チャンネルを持ってるんだ。歩くラジオ, 歌うミニコンボ。ミニではねえわ、デカコンボ。使い分けるところは使い分けて、融合させるところはうまく溶け合わせる巧さ。

① 80's Japan City-pop (山下達郎, 竹内まりや, 松任谷由実, 大滝詠一)
② 80's Alternative rock (Nirvana, U2)
渋谷系 (小沢健二, ORIGINAL LOVE)
④ 90's UK rock (Oasis, Radiohead)
⑤ 00's J-pop (サザンオールスターズ, Every Little Thing)

分類できたものだけで、これだけのチャンネルを持っている。

『benefits』はというと②と④のミクスチャーだと思っている。'90sのUKサウンドU2をぶち込んだ感じ。一人で音楽史を縦断するな。かっこよすぎるから。

数年後には一人でジャンルを確立してそう。というのは言い過ぎかもしれないが間違いなく「20's J-rock」のリーダーはVaundyだろうなと直感的にわかる。

 

 

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1. 後付 / 小林私
2. 一服 / 東京事変
3. NAMELY / UVERworld
4. 夜空になりたくて / kobore
5. 潮風のアリア / くるり
6. PINK BLOOD / 宇多田ヒカル
7. all the same / 坂東祐大 feat. Gretchen Parlato
8. hikari / eill
9. 解夏 / WurtS
10. benefits / Vaundy

 

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オナラした後のパンツ触った後に素手でメシを食ったらお腹を壊すのか

タイトルの通りである。オナラした後のパンツ触った後に素手でメシを食ったらお腹を壊すのか。あっ読むのやめないで......ご飯中だったら謝るから.......これにはきちんとした理由が......

4歳からの疑問である。ほとんどちゃん少年は悩んでいた。オナラをしたら絶対に匂いはチェックしたい。お腹の調子はオナラを嗅がなければ分からない。あの両津勘吉も「うるせぇ中川!!ウンコは健康のバロメーターなんだよ!!」と言っていたではないか。

でもオナラを嗅ぐためには素手でGASをキャッチしなければいけない。所謂「にぎりっ屁」をする必要が生じるのである。手の平がどうしてもGAS通過後のパンツに触れてしまう(家では常に下半身はズボンを履いていない、蒸れるから)。別にウンコしたわけじゃないから汚くないとココは167868237歩譲るとしても、ウンコの横を通り抜けてきた空気を素手で掴むことそれ自体が不浄な行為じゃないのか?パンツというフィルターを通してもウンコ菌は除かれない気がする。

オナラは嗅ぎたい。しかし手を使うのは嫌だ。3日3晩悩んだ。4歳で「葛藤」の概念を会得したのは俺ぐらいだろう。しかもオナラから着想を得る日常への類稀なる観察眼。神童と呼んでくれ。オナラ界のモーツァルト誕生の瞬間である。

結局納得する結論にたどり着けないまま

オナラする
→手で迎えに行く
→匂いをチェックする
→手が汚い気がする
→後悔しながら手を洗う

のサイクルを思春期までやっていた。

でももしオナラしたあとのパンツが汚くないのなら手を洗う必要はないことになる。後悔することもなくなる。誰かパンツのフィルター能力を身を挺して確かめてくれないか。

そもそもオナラって汚いのか?空気ちゃんがウンコに一度も触れず腸とのスキマを上手にすり抜けてきた可能性はないのか。0.0000000000000000000000001%の可能性でも希望のある方に賭けたい。それが男ってもんよ

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https://www.youtube.com/watch?v=TcXBnBXlebM

細菌を研究している親友Yに疑問をぶつけたところ、

「そもそもオナラって細菌が産生してるガスじゃないの?」 

うるせえ。そんなの関係ねえ。俺の腸の中はきれいなんだよ。分かったか。お前本当に細菌研究してるのか?俺のオナラは無菌、ウンコはピンク色でバラの香りで健康増進作用があるんだよ。いや間違えた、オナラもウンコもしないんだよ美少女だから。

「じゃあ検証してみようや、まずお前がオナラをする。そのパンツに俺がこのおにぎりを擦り付けてそれをお前が食う。立派な細菌学の実験や」

いや、やっぱいいです......僕が悪かったです......認めます......オナラは臭いしウンコもするし茶色いしすげえ臭うし細菌だらけです......お腹壊したくない.......

誰か俺が安心してにぎりっ屁できる平和な世の中をつくってくれェェェ......

2021年4-5月 ベストソング15曲

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4月~5月に狂ったように聴きまくった曲を集めました。

1. きらり / 藤井風

聴く麻薬というか媚薬。
初めて聴いたとき、聴き終わったらなぜか体が火照って震えていた。快楽に溺れておしっこ漏らしそうになったわ。今でもこの曲聴くと体温が5℃くらい上がる気がする。

あ、一応 ↓ では真面目に書かせていただいてます、てへぺろ

almost.hatenablog.jp

 

2. 不思議 / 星野源

この曲の面白いところは、一度も「愛」と言い切ってないとこなんですよ。「愛に足る想い」とか「愛に似た強い」とかいう表現止まり。愛そのものではないんよな。まだ愛かどうか自分の中では確信がもてていない。

「勇気に足るもの」とか「仮の笑みで」とか、
この曲は全編「仮」感を強調してくる。

結ばれても不安定でずっと揺れながら、自信がないながらに一人の人を愛してみようとする。その揺れる姿が美しい。源さんもこれからそんな風に奥様を幸せにしてください。チクショー悔しい。

 

3. 愛を知るまでは / あいみょん

「恋をしたから」のアンサーソングとして「愛を知るまでは」があるのだとしたら、あいみょん策士すぎる。なんか彼女の中では愛は恋と別物というより延長線上にあるような気がするね、そんなに難しく考えすぎんでええよ、みたいなコンヴィヴィアルな響きを感じる。

とにかくこの曲は終盤の畳みかけ方がえげつない。ラスサビ前のソロ歌唱で鳥肌が収まらなくなり、そのあとの「ジャカジャーン」で逝きます。みなさんも一緒に逝きましょう

 

4. ピーナッツバターシークレット(feat. CLR) / 美的計画

川谷絵音のソロプロジェクト。この人の曲の源泉は枯れることがないのか。

 

5. 東京無理心中 / ドラマストア

「ソングライターは上京してからよく『ふるさと』をテーマに曲を書くけれど、東京出身のソングライターはそれができない。ふるさとがないから」

という話をどこかで聞いて、なるほどと思った記憶がある。

でも、ついに東京出身のソングライターによる「ふるさと」の歌が世に放たれた。生まれてから東京で特に違和感なく暮らしてきたが、あるときから自分の中でモヤモヤが大きくなり始めた。東京が孕む大きな寂しさと絶望を肌で感じた若者が、その恥部まですべて官能的に書き下した問題作が、「東京無理心中」だ。

 

※これは全くのフィクションです。ドラマストアの4人は全員大阪出身です。すみませんでした。てか2番の歌詞、

東京メトロにそっと乗り込んで
歌舞伎町のネオンを遮ったって
届かないよな 届きやしないよな 

東京出身じゃないと書けないってこれ。東京メトロに”そっと”乗り込む感覚が大阪出身にわかってたまるか。くぅ。


6. 緑酒 / 東京事変

「緑酒」が収録された東京事変の新アルバム「音楽」、
全曲レビューはこちら。

almost.hatenablog.jp

 

 

7. 目覚ましはいつも鳴りやまない / GRAPEVINE

手弁当ぶら下げて 
屈辱も食ってやるが
見返りもほんの少し
リヴィングジャストイナフフォーザシティ」
「足るを知る」って言うが
誰の話かね

2021年になってファンクの完成形を聴けると思わなかった。日常を歌うだけでこんなにかっこいいの、完全にバグ。ゲームバランス再調整したほうがいい。

「酔っぱらった若者が見てる景色を書かせたら最強」でおなじみのスガシカオもこの曲を聴いたらひれ伏すと思う。ちなみにスガシカオが書いたファンクでおすすめなのはこれ ↓

こちらも必聴。


8. カサナルキセキ / KAN・秦基博

秦基博「カサナル」とKAN「キセキ」が合体したという、なんとも斬新な一曲。

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↑ これはKANの「めんどくさいおっさん」さが存分に発揮されているので是非見てほしい。彼のエンターテイナー魂は凄まじい。「周りと同じことをしたくない欲」の量と方向がぶっ飛んでる。どのくらいぶっ飛んでるかというと「死のっかな~でも一人じゃ怖いから○○ちゃんも一緒に死の?」と恋人と一緒に心中しようとするも毎回自分だけ生き残ってしまい恋人を3人入水させただけになっちゃった太宰治くらいぶっ飛んでる。

曲の生い立ち、構造をさりげなく説明しながら、なかなか完成形を見せてくれない焦らしプレイ。曲の宣伝とかお互いを誉めあったりして話題が「謝罪」から逸れるたび、ネチネチ記者からの「これ、謝罪会見ですよね?💢」っていうツッコミ。腹よじれた。動画の最後にMVあるんだけど、そこまでたどり着かない。

それにしても、KANはマジでめんどくさいおっさんだな。大好きすぎる。秦くん、よく引き受けたな。すごすぎる。二人の熱量の結晶をぜひ摂取してください。

 

9. またたき / Awesome City Club

 

 

10. アヤメ / 石崎ひゅーい

圧倒的No.1残酷ソング。アヤメの花言葉は「希望」なのに歌詞から希望を全く感じない。

《忘れたいことなど 一つとしてない/
あなたが残した この痛み抱いて歩いて行く》

これを「希望」とラベリングできる石崎ひゅーいの感性と思い切りに心から脱帽する。いい恋してきたんだろな。

 

11. なないろ / BUMP OF CHICKEN

弱っちい日本国民の味方ランキング堂々1位のBUMP OF CHICKEN。冒頭歌詞、

《闇雲にでも信じたよ きちんと前に進んでいるって》

クゥ~~~~!!これよこれ、ほんと味方、100%味方。藤原基央は完全にこっち側の人種なのよ。分かってくれてる。

歯磨きして顔洗って着替えたら、いつもと同じ足で藤原基央との待ち合わせに出かけたい。そして「お前、相変わらずの猫背だな」と笑われたい。

 

12. もう少しだけ / YOASOBI

いやAyaseは半音階の使い方うますぎるし、Ikuraちゃんは半音階の歌い上げ方うますぎなのよ。「夜に駆ける」のBメロとか「怪物」のAメロとかもそう。

この曲はマウントレーニアのカフェオレ。ちょっと苦いけど心地いい甘みが無条件に包んでくれる。受験期は毎日塾の近くのコンビニで買って飲んでました。あれは思い出の味。

 

13. 彼方 / Omoinotake

いやぁ~藤井レオの英語たまんねぇ、喉の奥が持ち上がってるような舌がもつれてるようなでもちゃんと届く発音、どタイプすぎる。生まれ変わったら藤井レオの舌根と結婚したい。

 

14. Cry Baby / Official髭男dism

振れ幅おかしいだろ、ちょっと前は「君の運命の人は僕じゃない」とか好きな女の子に全然近づけない童貞みたいな歌うたってたのに、かと思えば「ただ一人だけ 君だけ 守るための強さを」とかいってみたり、今作に至っては痛みで感じちゃってんじゃん。サイコ臭がプンプンする。サイコ全出しな曲を個人的に「首絞めセックスの最中に歌詞降ってきただろ絶対」というド偏見から「首絞めセックス曲」と呼んでいるのだが、これは間違いない。「首絞めセックス曲」だ。藤原聡のサイコ的側面全出しメンヘラ量産ソングだいすき。

 

15. 春は溶けて / Radio Bootsy

川谷絵音作詞作曲が被ってしまった。しょうがない、すごいんだから。

毎年春にFM802が企画しているキャンペーンソング。参加しているミュージシャンが岩倉使節団もびっくりするくらいに豪華だし、全員もれなく曲を自分のものにしているのがすごすぎる。

今回いちばんヤバいのはyamaが歌うパート。もはやyamaの曲にしか聞こえないし、なんなら「"春を告げる"のアンサーソングだな」と強制的に脳に刷り込まされる助けて

 

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1. きらり / 藤井風
2. 不思議 / 星野源
3. 愛を知るまでは / あいみょん
4. ピーナッツバターシークレット / 美的計画
5. 東京無理心中 / ドラマストア
6. 緑酒 / 東京事変
7. 目覚ましはいつも鳴りやまない / GRAPEVINE
8. カサナルキセキ / KAN・秦基博
9. またたき / Awesome City Club
10. アヤメ / 石崎ひゅーい
11. なないろ / BUMP OF CHICKEN
12. もう少しだけ / YOASOBI
13. 彼方 / Omoinotake
14. Cry Baby / Official髭男dism
15. 春は溶けて / Radio Boosty

 

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グルーヴって何なん【きらり / 藤井風】

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"GODD GROOVE"ってなんだ。「グルーヴ感」とか耳にするけど、よくわからない。高校生の頃、バンドやってる同級生が「グルーヴ感出したいんだよね」なんてほざいてるのを冷ややかな目で見てた。

だから、「グルーヴ」なんて知らない。むしろ存在しない「概念」のようなものだと思っている。虚構を追っかけるなんてばかばかしい。

......なんてことばかり言っているといつまで経っても文章が先に進まないので、我慢して辞書にあたる。

groove /grü:v/
〈略〉
3 最高潮, 絶好調;《俗》乗った演奏のジャズ, ノリのよい曲;《俗》とても楽しい [すてきな, すばらしい, 申し分ない] もの [こと]
(リーダース英和辞典 第3版)

確かにその通り、その通りなのだが、しっくりこない。
ノリのよい曲が「グルーヴ」なのであれば、バンドをやっていた、あのベースが下手な同級生が弾いても「グルーブ感」が出るはずだ。辞書には答えはなかった。

「予の辞書にグルーヴという文字はない」(ホトンド=チャーン、1999~)

その答えを見つけたのは、とある音楽雑誌の中だった。

「うなり、うねり。」

たったこれだけだった。拍子抜けするような明快な答えだった。
物理で習った「うなり」と「うねり」。

振動数が少し異なる2つの音を同時に聴くと「ウォーン、ゥォーン」と音が大きくなったり小さくなったりする、これが「うなり」だ。

「うねり」は大きく起伏する海の波。規則的で丸みを帯びた、波長の長い波で、長い距離を伝わっていく。うなりは大きくなったり小さくなったりを繰り返すが、うねりは徐々に大きさを増していく。

これらが合わさって "Groove" になる。

これを念頭に置いてもう一度このムービーを見ると、
藤井風やディレクター 秋永寛が伝えたかったことが浮かび上がってくる。

人種も年齢も違うキャストが、手をつなぎ、肩を寄せ合い歌を歌う。全然交わらなさそうな人々の人生が、ふとしたところで交叉する瞬間に、化学反応が生まれる。

一人一人、思い思いの形をした人生の波が、「うねり」ながら重なりあって「うなり」を生み出す。異質なもの同士が交じり合い、融け合い、お互いを引き立たせる。

これこそが "Groove" の正体なのである。

たどってきた道も、
めざす方向も違う誰かと、
それぞれの言葉で、
それぞれの表現で、
おなじものを楽しむその一体感は。
きっと、たまらないだろう。
(動画概要欄より)

動画の概要欄にあったこの言葉、これこそが「うねり」「うなり」もとい "GOOD GROOVE"の本質だったのだ。

秋永さん、風さん、Hondaさん。

参りました。

顔が良いやつは医学をやるな【小林右京】

顔が良いやつは医学をやるな
作詞作曲:ほと林右京ちゃん

顔が良いやつは医学をやるな
理由はひとつ それはズルすぎるから
顔が良いやつは医学をやるな
そういう奴を許しはしない

ああいつでも チヤホヤされて人生イージー
手に入る過去問 本試で合格です
それに引き換え拙者は 顔面がキモすぎて
過去問どころかテストの日程回ってこない

チヤホヤされるには 医者しかない
でも顔が良いやつ 別に医者じゃなくてもいいじゃん

顔が良いやつは医学をやるな
すぐに白衣を着て自撮りするのやめろ
顔が良いやつは医学をやるな
そいつの病院の収益から多めに税金を取れ

ああいつでも 集客に悩まされる事はない
顔がよければ 囲いのナース ワラワラ増える
それに引き換え拙者は 一生ナースステーションの笑いもの
ジジイと局を相手にいい子を演じてる

友達が少ないから自分で全てを賄うよ
でも顔が良いやつ すぐまとめノートの力借りる イェー

顔が良いやつは医学をやるな
Charcot-Marie-Tooth病診たことがあるやつだけがその病名を使え
顔が良いやつは医学をやるな
患者の女はお前の診断を聞いていない

恋愛経験 あるやつも 医学やるな(医学やるな)
浪人中に駿台で恋愛こじらせた男も 医学やるな(医学やるな)
Charcot-Marie-Tooth...(Charcot-Marie-Tooth)
Charcot-Marie-Tooth...(Charcot-Marie-Tooth)

顔が良いやつは医学をやるな
医師免許にすがるしかないやつの聖域を守れ
顔が良いやつは医学をやるな
これは人種差別と同等の大きな社会問題の提起

ズルい...ズルい...ズルい...ズルい...

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【東京事変「音楽」全曲レビュー】「聴けばわかる」という禁止カードをついに使う時が来た

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「聴けばわかる」という禁止カードをついに使う時が来てしまった。大名盤。21世紀にこれ以上の名盤は生まれないと言い切ってしまってもいい。聴けばわかる。黙って3回通しで聞いてくれ。できれば爆音で。話はそれからだ。

目次


01. 孔雀

作詞:椎名林檎 作曲:浮雲椎名林檎

東京事変のシンボル「孔雀」をそのままタイトルにした曲。椎名林檎によるマイクチェックからメンバー紹介の後、流れるように般若心経、そして英語のリリックに移ってゆく。般若心経に英語の響きがあり、英語に般若心経の響きがあり、その両者の響きを併せ呑んだメンバー紹介。ひどく濁った沼だけれどずっと浸かっていたい気持ちよさ。

メンバーを五臓に喩えるところがある。

心臓......刃田綴色 (Dr.)
肝臓......亀田誠二 (Ba.)
腎臓......伊澤一葉 (Pf.)
脾臓......浮雲 (Gt.)
肺臓......椎名林檎 (Vo.)

Vo.を務める林檎嬢が肺臓なのはいいとして、脾臓浮雲を選ぶセンスよ。「脾臓浮雲」と歌われたら納得せざるを得ない。今日からああ浮雲ね、脾臓ね、と受け入れられてしまう自分が怖い。医師国家試験の勉強をしていると脾臓の疾患は結構な数があることに気づくのだが、それらを勉強するたびに毎回体調悪そうな浮雲の顔が浮かんできてしまいそうでこれもとても怖い。

02. 毒味

作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠二

まず言わせてくれ。亀田誠二のベースラインがエロすぎる。ロックやってる師匠も十分エッロいベース弾くんだけど、ファンクになると突然「エログロ」にギアチェンジしてくる。「ロー入っちゃって、もうウィリーさ」ではないが、それくらいの衝撃。マジで「安全第一」のバリアなかったら海に突っ込みますよ。

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なんてふざけてますけど、この曲アルバムで一二を争うくらいにメッセージ性が強い曲で、ここを解説せずに素通りしたら天罰が下ると思うのでちゃんと書きます。

戦後の高度経済成長期、バブルで海がどんどん埋め立てられビル街やごみ処理場になっていったのとパラレルに、文化の源泉も埋め立てられてスカスカになっていった。「埋立地」は不毛で、新たな文化は生えてこなくなってしまった。自分たちの使命は、ここから再び花を咲かせ、実を生らせること。

そのためには、自分自身ですべてを「毒味」して、ひとつずつ植えていかなければならない。「刺激の強い材料を排除」しないで、自分の舌と躯体を使って吟味していく。そんな強い決意の歌である。東京事変が最前線にたって「毒味」をしていくと宣言し、リスナーひいては日本国民全員にも同じ土俵に立つことを要求している。

耳が痛いかもしれないし、難消化性かもしれないが、真正面からぶつかる価値があるし、孕んだメッセージをきちんと自分の中で消化しないといけない。「消化不良」で終わってはいけない、そんな曲。

03. 紫電

作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉

し-でん【紫電
鋭い眼光や研ぎ澄ました刃などの鋭い刀。 

皮肉がすごい。タイトルは「紫電」なのに、内容は「有能ぶる無能」「一億総白痴」への痛烈な批判。生ぬるい気持ちで聴いたら火傷しまっせ。

太平洋戦争のときに「紫電」という名前の戦闘機があったのだが、名前とは裏腹に鈍重で操縦しにくく、さらに外見が敵の戦闘機と似すぎて味方に撃墜されるというどうしようもない戦闘機だったそうだ。これも関係しているのだろうか。

P.S. 「緑酒」MVのスピンオフBGMがこれなのだが、深い意味があるのか、はたまた遊び心なのか。

04. 命の帳

作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉

ときどきマッシュの男たちのスリーピースバンドが「君に想いを伝えられない」とか自分の不器用さを歌ってるののうさん臭さといったら異常よ。オメーぜってー不器用じゃねえだろ。百戦錬磨だろお前。俺の片思い玉砕遍歴に全部目を通して「不器用とは何ぞや」ということを体得してから俺の目の前に現れろ。

って思うことが、椎名林檎の書く詞だと、ない。
椎名林檎がこういう歌詞を書くと救われる。傷ついても傷つけてもなお向き合いたいどこか暴力的な性愛が《なぜ僕の肌に触れるの》にギュッと詰まっている。椎名林檎の勝ち。

寄り添い方が異常。普通の寄り添う歌が「肩にもたれる」くらいだとしたら、椎名林檎の寄り添い方は「裸でベッドイン」だから。もはや、寄り添ってるというより、抱いてる。正直、抱かれたい。

序盤でピアノと透明な歌だけだったのが中盤、楽器が増え、徐々に音数が増えてくる。終盤に行くにつれて歌はひび割れ、ギターもベースも歪み、リズムもぐちゃぐちゃ、もはやカオス。混沌の極み。全部ぶち壊して最後音がなくなり、

《今あなたへ触れる指は/宇宙いちと伝えてるよ》 

まさに計算されたカオスを見せつけられて、頭おかしくなりそう。

05. 黄金比

作詞:椎名林檎 作曲:浮雲

東京事変というバンド自体を歌という次元まで落とし込んだような作品。

このバンドは、黄金比もとい「カオティック・バランス」の上に成り立っているんだと思う。やってることも存在までも、間違いなくカオスなんだけど、「崩したい」「保ちたい」の危なっかしいバランスの中で巧みに平衡を保っている、秩序ある混沌。計算されたカオス。この曲を何らかのジャンルに分類しなきゃいけないとしたら、俺は間違いなく「芸術」に分類するね。

ということでルーブルの担当者は今すぐにこの作品を飾ってくれ。年パス買うから。これが飾ってあったらさすがの宇多田ヒカルも《初めてのルーブルは/なんてことは無かったわ》なんて言えないと思う。

06. 青のID

作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

冒頭《果てしのない自由~》で林檎嬢の作曲だとわかる。「東京事変」と「椎名林檎」の最接近点。

ID = identification「身分証明」

こうして日本語に直すと明らかになるのだが、
これは「永遠の不在証明」と対になる曲。アンサーソングといってもいいかもしれない。

永遠の不在証明:
《味方の自分が最後まで奇々怪々なる存在》《元々の本当の僕はどこへ》
青のID:
《形姿が只の容器なら己たらしめる材料はどれ》《自分が自分たる裏付け》《生きている証明》

2曲続けて聴くのは超危険。永遠の不在証明で本当の自分探しに放り出された後、青のIDで生きている証明を要求される。魂がキャパオーバーして破裂しました。破裂した後に鏡を覗いたら、そこには奇々怪々なる存在が......

ま、考え込む前に大いに受け入れるのが正解......

07. 闇なる白

作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉


このアルバムは色の使い方が妙を得てる、解釈が難しくてリスナー泣かせなのはトレードオフ。ここにいるリスナーも、泣いてます。

ここでの「白」は「無罪・合法・潔白」と捉えたい。つまり「闇なる白」とは「別に法に触れているわけではないし絶対悪とは言い切れないけど人間を蝕むもの」。何とは言わないけど。

08. 赤の同盟

作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉

「サビ」の使い方がうますぎる。いうなれば「つなぎの四番」。ホームランがそんなに期待できるわけではないけど、貯まったランナーを確実に返してくれる、そんなバッターのようなフレーズ。

《大嫌いの定義や大好きの方程式とは/バイアス決め込んで競って不毛です/よって言語を経由しない原初の衝動を/呼び覚ましたい思い出したいです 》

サビがサビらしくないけれど、A,Bメロの不安げなメロディー、不穏な雰囲気を全部解決し、吹き飛ばしてくれる。ムードが一気に変わる。鳥肌モノ。これこそ「キラーチューン」ならぬ「キラーフレーズ」。

そしてこのアルバムのすごいところはすべての曲に「キラーフレーズ」があるところ。聴くだけで笑いたくなるような泣きたくなるようなよくわからない気持ちにさせられる旋律を、ぜひとも体験してほしい。

09. 銀河民

作詞:椎名林檎 作曲:浮雲伊澤一葉

《彼がすけべなきょうに限ってよりによって/超保守的な肌着なんて抜き取っちゃいたい》

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!アルバム中で一番ともいえるキラーリリック!!!!成人女性みんな経験あるでしょこれ。歯がゆさを「彼の性欲」と「保守的な下着」で表現できるのは林檎嬢しかいない。やっぱり抱かれてきていいすか。

他にもすごいぞこの曲。

《「めがねはどこだ?」と探し始めようにも/あーんめがねが要りますいつはずしたんか》

《「iPhoneを探す」ソフト使い始めようにも/あーんiPhoneが要ります落として来たんか》

《声ばっか大きいひとに限ってよりによって/おいしい褒美を頬張り食い逃げしちゃうの》

《珍しく食べたいメニュー判ってめでたい折/配達パートナーがご不在て南無三 UberEats》

《起きしなから答えをずばっと出したいのに/冴えている時間と言えば夜中の三時くらい》

 俗っぽい話題で共感の嵐が吹き荒れるのに、気が付いたら星空が見えるくらいに晴れわたっている。銀河レベルまで昇華洗練されている。

10. 獣の理

作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠二


日本一のイントロ。全員亀田誠二にひれ伏せ。イントロだけで白飯161.803杯は食える。これだから師匠の曲はクセになる。ちなみに本業のベースもめちゃめちゃ気持ちいいです。

11. 緑酒

作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉


毒味と聞き比べてみるといいと思う。椎名林檎が、東京事変が、社会的激動、この世の苦しみ、悲しみ、憎悪の堤防を一手に引き受けている、その尊さに気づいてほしい。

「毒味」も「緑酒」も耳がズキンズキン痛い。傷に沁みる。でも耳が痛い話を全員が恥じらいながらでもいいからしていくべきなんだ。社会に参加している(させられている?しちゃっている?)全員が肝に銘じるべき信念。

12. 薬漬

作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉


生きている実感がなくなってくることに対する危機感と、人間の思い上がりの愚かさを「薬漬」というタイトルでまとめて書き下しちゃったんですか......そうですか......この曲聴くまで全然接点すらないと思っていたものが急に近しく思える魔法をかけないでください。

13. 一服

作詞作編曲 椎名林檎

一服なんてしている暇はない。仕掛けに次ぐ仕掛け。曲を聴いているだけではわからない。実際に手を動かさないとわからないような、作りこまれたギミックにコーフンしてます。男の子はなんでも分解したがりなんですよ。男の子は誰でも。

渋谷区南平台→「罪と罰」に登場した山手通りが貫く
新宿区矢来町→「母国情緒」に登場した神楽坂がある

渋谷区南平台と新宿区矢来町の《遠い両極端》を結んだ《丁度間》には東京オリンピックで使われる新国立競技場。その場所と建設の様子を《センターライン(ちょうど中央の地点)引けば出来て(完成して)いく》と表現している。

「南平台」と呼ばれた市川崑
1964年・東京五輪の記録映画『東京オリンピック』を作り、
「矢来町」と呼ばれた古今亭志ん朝
「東京オリムピツク噺」を作った古今亭志ん生の息子。

ここまでくると「仕掛け」というよりこの曲の歌詞は出来るべくして出来た感。言葉も歴史も東京も椎名林檎のためにあるのか!!と植草貞夫アナばりに叫んでしまう。

総括

・計算されたカオス、カオスなのにそれを曲という枠のなかに収めることができる5人の音楽的素養
東京五輪にこれでもかと焦点を合わせた解像度の高い「音楽」という映像
・全曲が「キラーフレーズ」「キラーリリック」を持っている怖さ
・その中に本質を痛いほど突く棘を潜ませる残酷さ

無限の官能性と殺人力を秘めた一つの芸術作品が世に放たれてしまった。

いままでも「教育」「スポーツ」「アダルト」など様々な側面からこの国を切り取ってきた彼らが、完成したアルバムに「音楽」という名前を付けた。これは、これからの音楽シーンを牽引していく自負と相当な自信の表れとみたい。

ボーカル、ギター、ベース、ピアノ、ドラム。この五人だけで「純度の高いロック」をずっと追求してきた集大成こそが「音楽」だ。聴けばわかる。とりあえず聴いてくれ。話はそれからだ。