almost...

分析と爆発のあいだ

少しずつ 少しずつ / Early Morning【千夜千曲・第11夜】

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新しい音楽を発掘したい、そんな方の助けとなるべく始まった「千夜千曲」計画。一日一曲、音楽発掘のきっかけとなるような曲をspotifyプレイリストに追加しています。たまに選曲理由などを記事にします。今日は第11夜。

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【第11夜】少しずつ 少しずつ / Early Morning

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フジテレビの女子アナによるアイドルグループ「Early Morning」、その3rdシングルにして最終作品。なんと作曲は加藤綾子アナウンサー。そう、あのカトパンである。聴かないわけがない。

《少しずつ 少しずつ 鏡の中の笑顔が うそっぽく映る今日の朝》

メロディーも歌詞も歌声も切ない。20代女子アナのキラキラしたイメージとはかけ離れている。「Early Morning」の由来は文字通り「早朝アイドル」なのに、朝の描写がどんな曲よりも寂しく暗い。きらびやかな世界で活躍する人の裏には影があるのだと初めて実感したのはこの曲を聴いたときかもしれない。どんな事件や報道よりも鋭く心にぶっ刺さった。

こんなにも素直で後ろ向きがちな切ない曲にGOサインを出したのは誰だろうか。その人に拍手を送りたい。

 

<第10夜 - 第12夜>

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Moon River / Audrey Hepburn【千夜千曲・第10夜】

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新しい音楽を発掘したい、そんな方の助けとなるべく始まった「千夜千曲」計画。一日一曲、音楽発掘のきっかけとなるような曲をspotifyプレイリストに追加しています。たまに選曲理由などを記事にします。今日は10夜目。

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【第10夜】Moon River / Audrey Hepburn

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映画『Breakfast at Tiffany's〈邦題:ティファニーで朝食を〉』のメインテーマ。1943年のNYの街をゆらりと歩くホリー・ゴライトリー(オードリー・ヘップバーン)、バックにコレ。魂が「古き良き時代」に一瞬で運ばれてゆく。大好きな曲。気に入った方はぜひ映画原作も見てみてください。ちなみに僕は今日も一回観ました。ホリーが愛おしすぎて今夜は寝れそうにない。

近日noteから引っ越し予定の ↓ の記事 #13 で、藤井風のカバー動画とともに詳しく取り上げます。(※現在はこちらで見れます⇒【永久保存版】藤井風のカバー動画大全・第2回 12歳で初投稿~中学卒業まで②|ほとんどちゃん|note

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<第9夜 - 第11夜>

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潮風のアリア / くるり【千夜千曲・第9夜】

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新しい音楽を発掘したい、そんな方の助けとなるべく始まった「千夜千曲」計画。一日一曲、音楽発掘のきっかけとなるような曲をspotifyプレイリストに追加しています。たまに選曲理由などを記事にします。今日は第9夜。

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【第9夜】潮風のアリア / くるり

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くるりすげぇよ......」以外の感想が出ない......

こんなに簡単な構造で、どうしてこんなに深みを出せるのかと嫉妬で狂いそう。

α :
|E9|B/A|E/B|F#7/C#
|C7add9|B7add9|E Esus4|E|

β :
|B/D#|A/C#|Am6/C|B EM7|
|B/D# G#m7|F#/A# F#|F#m7-5|Bsus4 B|

 

この二つのコード進行を繰り返しているだけなのに飽きない......もはや二回目以降同じコード進行が出てくると快感で顔が歪む......アァ......この感覚はそう、VaundyとかNulbarichとかSuchmosとかで感じたヤツ......

もしかしてくるりはシティポップのパイオニアなのでは?と思ってしまうレベルでループを扱いなれているのが衝撃的過ぎた。リズム感もコード進行も音色全然違うから全くシティポップではないんだけど、要らないもの全部取っ払ってエッセンスだけを抜き取った要するに「牛1頭からわずか50gしか取れない高級シャトーブリアン」みたいな感覚。

うーん例えを変えよう......交際相手と別れしばらく経って、別の人を好きになった。元彼とは真逆のタイプの人。やっぱりこういう人と付き合いたかったんだ。そう思っていたのにふとした時に元彼との共通点を見つけてしまって悶えた。結局同じような人を好きになってしまう。時間が経っても何も変わっていない自分を嘲笑いつつ、逆にそんな自分をなぜだか愛おしく思える......感覚?違うか。絶対違うな。あれ、何の話だっけ......とりあえず、くるりの最新アルバム、絶賛発売中です。ぜひお手に取ってください......この妄想シチュエーションシリーズやめたい......

www.amazon.co.jp

 

<第8夜 - 第10夜>

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「何なんw」、まじで何なんw【千夜千曲・第8夜】

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新しい音楽を発掘したい、そんな方の助けとなるべく始まった「千夜千曲」計画。一日一曲、音楽発掘のきっかけとなるような曲をspotifyプレイリストに追加しています。たまに選曲理由などを記事にします。第8夜は藤井風の曲を。

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【第8夜】何なんw / 藤井風

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初めて動画を目にした時、タイトルで怪訝な顔になり、イントロ

《Na, Na, Na-na-na-na-na Na-na nah \ンーチッ/》

でドン引きし、敬遠してしまった。すいませんでした。そして恐る恐る聴き始めてから、さらにたくさんの衝撃に曝されることになった。3つにまとめてみた。

① スピリチュアルな話題を選ぶ勇気

主題は「ハイヤーセルフ」。誰しもが自分の中に持っている神様みたいなもので、自分が道から外れたり間違ったことをしようとしたときに説教したり歎願したりしてくるような存在だ。
この話題を23歳という若さで扱おうと思った勇気に「人生何周目?」という最大級の賛辞を送りたい。

② 熟達した言葉選び

そしてそのハイヤーセルフの警告を「何なんw」という自分の中の問いかけで表現するその感覚。曲名にもなるくらい短くて単純な言葉なのに、この曲の意味するところが全部つまっている。

③ 全編岡山弁の歌詞

言い回しに度肝を抜かれた。
と同時に「藤井風が岡山出身でよかった」と感じるのである。
R&Bはもともとブラック・ミュージックから生まれたものだから、素直な日本語の歌詞は馴染みにくい。無理やり歌詞を当てても言葉だけが浮いてきてしまう。これまで日本でほとんどR&Bが生まれてこなかったのはそういう理由だ(宇多田ヒカルはすごすぎるので例外)。
だからこそ(②と似通うが)、藤井風が、音韻やイントネーションがR&Bと馴染みやすい岡山弁のネイティブスピーカであることに奇跡というか何かのめぐりあわせを感じる。彼が岡山出身じゃなければこの曲は生まれなかったんじゃないか、と思ってしまう。

幼いころから膨大な音楽を取り込んで自分のものにしてきた藤井風が、その完成形を世の中に放ち始めた瞬間に立ち会えるのは嬉しい。藤井風のデビューシングル、ぜひ堪能してください。まだ聴いていない方は敬遠せずにぜひ。

 

<第7夜 - 第9夜>

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NO MORE MUSIC / OKAMOTO'S【千夜千曲・第7夜】

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【第7夜】NO MORE MUSIC / OKAMOTO'S

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曲名は「NO MORE MUSIC」。「もう音楽なんていらない」というセンセーショナルなタイトルで、2017年当時の日本に強烈なメッセージを突き付けた。

日本では2015年にApple musicやAmazon Prime Musicなどストリーミングサービスが始まった。好きな曲を好きなタイミングで聴くことができるようになったことはもちろんいいことではある。のだけれど、世界中に音楽が溢れかえり、新曲が毎分毎秒リリースされる目まぐるしい状況で、リスナーは何を聴いたらいいかわからなくなっているし、何が好きなのか、何が《Good Music》なのか、わからなくなっている。

逆に作り手の立場から見ると、音楽を作り続けているし新譜もどんどん出ているのを目の当たりにするけれど、ふと目を向けると、カラオケでは40年ぐらい前の曲が未だに歌い継がれていたりする。そこを塗り替える作品が出ているのか、またそのような作品を出せるのか。若干の諦観にも近い感情と向き合わざるを得なくなった。「いったんこの世界のミュージシャンが全員ニューリリースをやめたらいいのに」。この発想が「NO MORE MUSIC」に凝縮されている。

でも、この曲はただ後ろ向きな感情を吐き散らかして終わるわけではない。やっぱりいい音楽を出せばきちんと評価してもらえるチャンスはある。だから《NO MORE MUSIC》という気持ちを塗り替えるものを出すしかない。そんなスタンスで曲を作り続けていくと宣言している。そしてその宣言通り、この曲は素晴らしい出来上がりになっている。

 

<第6夜 - 第8夜>

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駱駝 / 高橋優【千夜千曲・第6夜】

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【第6夜】駱駝 / 高橋優

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高橋優のインディーズ時代の代表曲であり、彼のスタイルを最も象徴する曲かもしれない。16ビートのストロークに乗せて世の中への反抗を歌うのは、デビューからずっと貫いてきた彼の信念だ。

《ありったけの愛を込めて/教科書全部破こうぜ》
《手を出されて泣いたっていいから/世間体なんてカスだから/僕らは笑おうぜ/僕らは笑おうぜ》

クソな世の中に弱虫なりに小さくあっかんべーすること、どんなときでも笑っていようとすること、これが彼のライフワークでありポリシーでもある。世に放たれた当時の「生の高橋優」がすでにブレない軸を持っていたことに感嘆しつつ、この曲を楽しむことにしよう。

 

<第5夜 - 第7夜>

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雫に恋して / indogo la End【千夜千曲・第5夜】

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【第5夜】雫に恋して / indigo la end

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瑞々しいイントロで始まるこの曲は、最初から最後まで雨と涙で濡れている。川谷絵音の透き通る歌声と緩くリバーブのかかったギターが、打ちつける雨と止まらない涙を残酷なほど美しく映す。

indigo la End」というバンド名はスピッツのアルバム「インディゴ地平線」から取ったそうだ。「インディゴ地平線」は海をモチーフにした楽曲が多く収録されている。

そこにある水辺の世界観を1996年から真空パックして持ってきたかの如く再現・再構築したのが「雫に恋して」だと思う。大名曲。ぜひ「インディゴ地平線」と一緒に聴いてほしい。

 

<第4夜 - 第6夜>

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