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分析と爆発のあいだ

藤井風『HELP EVER HURT NEVER』セルフライナーノーツ書き起こし

藤井 風(Fujii Kaze) - "HELP EVER HURT NEVER" Listening Party (LiveStream) -  YouTube

2020/05/18  "HELP EVER HURT NEVER" Listening Partyで公開された「セルフライナーノーツ」を書き下ろしました。Listening Party 全文書き起こしはこちら(準備中)。

《目次》

01. 何なんw / WTF lol

デビューシングルを作ろう、と思って作ったデビューシングル。
どこを切っても、自分らしいと胸を張って言えるような曲にしたかった。
だから、口癖をサビに持ってきて、大好きな90年代風R&Bサウンドで、自分の心地いい方言で、気持ちよく歌って、タイトルに草も生やした。w
「何なん」縛りで考えようとした歌詞は、何か月も寝かせたけど、ふと「誰しもの中に存在するハイヤーセルフが、ダメな自分に語りかける」というコンセプトが降ってきた。
結果、これ以上考えられないようなデビューシングルになった。言うてますけどmore

 

02. もうええわ / I'm Over It

もしも「何なんw」がデビューシングルにできなかったら、「もうええわ」でもええわと思えるくらい、思い入れの強いセカンドシングル。
ヒップホップに影響されたサウンドに乗せて、ちょっと汚くて、暗くて、ワルい世界観を表現できた。
「俗世・執着からの解放」を裏テーマに、人生におけるあらゆるネガティブなエネルギーに「もうええわ」する、自由の歌。

 

03. 優しさ  / Kindness

「優しさ」は「強さ」。
「優しさ」って、最強。
人と接するうちに、そんなことを感じるようになった。
冷たいピアノ、エモーショナルなストリングス、緊張感のあるビートにのせて全力で歌った、「優しさ」へのラブソング。

 

04. キリがないから / Cause It's Endless

スリリングなベースに、トラップ風のビートが絡む。
Yaffle氏のアレンジが冴え渡る、疾走感と高揚感にあふれたクールな楽曲。
要らんものを断ち切って、変化を恐れず、進化し続けることを誓った、決意の歌。

 

05. 罪の香り / Flavor Of Sin

プログレ、ジャズ、ラテン、などいろんな香りの漂うサウンドが圧倒的。罪への恐れを歌った楽曲。
アルバムで唯一、ホーンセクションが入っていることもあり、熱気や世紀にあふれた、アツい仕上がりになっている。

 

06. 調子のっちゃって / Oops I Pushed My Luck

ジリジリと、徐々に盛り上がっていく。
噛めば噛むほど味が出てくるスルメ曲!
お笑いラブ(ゆりやんレトリィバァよりインスパイア)なタイトルからは想像できない、とにかくアダルトなムードの曲にしたかった。
この自分への戒めのような曲を書いてからは、多分あまり調子に乗ってない。(と思いたい)

 

07. 特にない / Not Particularly

Lo-fiヒップホップの心地よさ、暖かさを意識した、アルバムの折り返し地点となる一曲。
日本語と英語のセクションが混在した歌詞で、「足るを知る」の精神を、淡々と、かつ切々と歌っている。(つもり)

 

08. 死ぬのがいいわ / I'd Rather Die

上京後、買い物帰りに「あなたとこのままおサラバするより死ぬのがいいわ~♩」というフレーズが降りてきた。ずいぶん昭和な歌詞とメロディだなと思ったけど、それがイマっぽいトラップ風ビートと合わさったおかげで、絶妙にオモロい個性的な曲になって大満足!

 

09. 風よ / Hey Mr.Wind

自分のルーツの一つである、昭和歌謡を前面に押し出した一曲。Yaffle氏の現代解釈による。極力シンプルにそぎ落とされたアレンジが、この曲の哀愁をいっそう引き立ててくれた。
神さまを、吹く風に重ね合わせて、導いて欲しいと願う祈りの歌。

 

10. さよならべいべ / SAYONARA Baby

上京するときの心情は、歌にしといたほうがいい。と言われた。自分でもそう思った。
それがまさかの、こんなロックチューンになろうとは!自分でも思ってなかった。
アルバムの中で異彩を放っているリアルな上京ソング。

 

11. 帰ろう / Go Home

この曲を発表するまでは死ねない。
この曲を発表するために日本語の曲を作ろう。
とまで思わせられた曲。
それまででたらめな言語で曲を作っていた自分にとって、この曲のサビのメロディが日本語で降りてきたことが、日本語の曲を書き始めるきっかけになった原点。
「死ぬために、どう生きるか」人生を帰り道に重ね合わせて、自問自答した。ファーストアルバムの締めくくりには、この曲以外には無い。

 

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